1999 Fiscal Year Annual Research Report
実空間オーダーN法による大規模な第一原理分子動力学シミュレーション
Project/Area Number |
11740223
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
星 健夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教務職員 (80272384)
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Keywords | オーダーN法 / 第一原理分子動力学法 / 密度汎関数法 / 大規模シミュレーション / ワニア関数 |
Research Abstract |
1、タイトバインディング法と密度汎関数法との両方に適応可能な、プログラムコードを作成した。前者の範囲で、ダイアモンドについて、約4000原子を含むまでの系のテスト計算を実施した。計算には1CPUの標準的ワークステーションを用い、約4000原子の系でも1時間以内に計算が完了した。一方、対角化法は500原子程度の系が限界であり、約4000原子の系では1000時間弱の計算時間が予想される。対角化法とオーダーN法とでさらに詳しくCPU時間を比較したところ、100-200原子程度を境界にして、オーダーN法が優位になることが分かった。これは以下の理由による。我々のオーダーN法はワニア関数を用いるものである。このテスト計算では、1つのワニア関数は約20個の原子を含む空間に広がっており、上記計算における境界値は、この広がりによって決まっている。 2、オーダーN法の本質である、ワニア関数の局在性に関し、基礎理論を明らかにした。ワニア関数の局在性に関しては、これまで、1次元単一バンド系からの類推でバンドギャップと直接関係のあるものと思われてきた。これに対し我々は、以下の方法で、こうした関係が一般的なものでないことを示した。(1)ダイアモンド構造をとる物質(炭素、シリコンなど)に対し、タイトバインディング法の範囲で厳密なワニア関数を得た。さらに、得られたワニア関数を従来知られていた摂動理論によって解析し、その局在性はバンドギャップには敏感でないことを示した。(2)オーダーN法の基礎方程式からワニア関数を直接導いた。また、完全な一般論として、その局在性を論じた。それによると、ワニア関数は形式的に、不純物原子のつくる不純物状態として一体問題へと帰着させることができる。これらの結果は、現在、論文投稿中である。
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