1999 Fiscal Year Annual Research Report
強相関系およびメゾスコピック系における低次元電子系の場の理論的研究
Project/Area Number |
11740227
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤本 聡 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10263063)
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Keywords | 強相関電子系 / モット転移 / ベーテ仮説法 / ハルディン・ギャップ / ドルーデ重み |
Research Abstract |
1.ハルディンギャップ系のスピン輸送.....最近、S=1のハルディンギャップスピン系と考えられているAgVP_2S_6においてスピン格子緩和率の磁場依存性からスピン拡散的な振舞が、Takigawa等によって実験で観測され(Takigawa et al.,Phys.Rev.Lett.76,2173)、これに対するとしてSachdev等によってO(3)非線形シグマモデルにもとづいた半古典的理論が出された。しかし、O(3)非線形シグマモデルは厳密可解モデルであることから、これのスピン輸送特性を特徴づけるドルーテ重みは有限温度で0でなく、従って、バリスティックな伝導を示すと期待される。私はこれを厳密解を用いて有限温度で計算し、実際に、有限温度でも0ではなく、また、高温においてもスピン輸送がバリスティックであることを示した。また、現実に実験で観測されているスピン拡散については、フォノンなどの他の自由度との結合を考えることによって、よく説明することができ、特に実験で観測されている、温度に依存したカットオフ振動数の存在も、その温度依存性も含めて、フォノンモデルで説明できることを示した。 2.擬1次元系における金属絶縁体転移近傍における異常な性質.....無限個の1次元ハバード・モデルを横ホッピングで結合したモデルにおける、フィリング・コントロールによるモット転移について調べた。電子相関の効果については、1次元ハバードモデルの厳密解の結果を用いて非摂動的に扱い、長距離の横ホッピングを導入して、横ホッピングの及ぶ距離の逆数を展開パラメーターにして、モット転移を特徴づける、種々の物理量の計算を行なった。この展開は、横方向のCoordinate numberが十分、大きい場合に正当化される。ハーフフィリング近傍のフェルミ液体相における電荷感受率、ドルーデ重み、比熱、状態密度を計算し、物理量のホールドーピング依存性にハーフフィリングに近付くにしたがって、モット転移を特徴づける巾異常があらわれ、そららの巾が非普遍的であることを示した。
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