1999 Fiscal Year Annual Research Report
梯子型電子系に対する電子間相互作用、不純物、および磁場の効果
Project/Area Number |
11740231
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
森 弘之 広島大学, 大学院・先端物質科学研究所, 助手 (60220018)
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Keywords | 梯子系 / 低次元系 / アンダーソン局在 / メゾスコピック系 / 永久電流 / 強相関電子系 |
Research Abstract |
一次元電子系のランダムポテンシャルによる局在問題を、電子間相互作用、外部磁場、チャンネル数などの要因を取り入れて解析することを試みた。与えられたチャンネル数(梯子型の電子系の場合はその梯子の足の数に相当)をもつ電子系に対し、ボゾン化法を利用して電子間相互作用の一部を取り込み、残る電子間相互作用(後方散乱など)や外部磁場の効果を繰り込み群を用いて解析した。その結果は以下のとおりである。 チャンネル数1の場合: 電子間相互作用がランダムポテンシャルの有効的強さを弱める。これは、SDW的な揺らぎが最も支配的な基底状態において、電子間相互作用(斥力)はその揺らぎを強めるのに対し、密度の揺らぎは弱められてしまうためである。すなわち、電子間相互作用を大きくすると、密度揺らぎが減って、ランダムポテンシャルによるピニングが起こりにくくなり、ランダムポテンシャルの効果が弱められるためである。 チャンネル数2、3の場合: 梯子の足の数を増やすなどしてチャンネル数を増やすと、ランダムポテンシャルを弱める働きをもっていた電子間相互作用の役割が徐々に小さくなってくる。逆に言えば、チャンネル数1の場合が最も電子間相互作用がランダムポテンシャルを押さえつけている。 外部磁場を伴う場合: チャンネル数1の場合に対して、外部磁場の効果を調べた。チャンネル数が1のため、外部磁場はスピンと結合するだけで、軌道とは結合しない。すなわち、外部磁場の効果はゼーマン項として取り入れられる。この項の存在により、ランダムポテンシャルの実効的大きさは弱められ、磁場により電子の局在が和らぐ結果となる。
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Research Products
(1 results)