1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11740238
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
渡邊 辰矢 茨城大学, 理学部, 助教授 (10302324)
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Keywords | 剥離渦 / 分岐 / 層流パターン / 縮約方程式 / 非圧縮性流体 / 非境界層近似効果 / 急拡大 / 数理モデル化 |
Research Abstract |
固定壁、自由壁を問わず急拡大する境界の後方には剥離渦を生じる。その安定性や分岐を理解するためになるべく単純な縮約モデルを構築したいというのが本研究のテーマである。このために、Sobey&Drazinの論文で実験的・数値的に調べられた、拡大が比較的緩やかな対称壁面の間の2次元層流パターンの分岐をまず説明できるモデルを目指している。これはレイノルズ数が増すにつれて、剥離渦なしの流れから、対称な渦の対が生まれ、そして非対称な定常渦対のパターンや非定常な流れへと次第に分岐していくものである。 本年度は,流れ関数表記のナビエストークス方程式を境界層近似した後に、流れに交差する方向にKarman-Pohlhausen流の方法で平均化し、2つの未知関数が連成した偏微分方程式系で表されるモデルを導いた。この未知関数は時刻と壁面に沿う方向の空間座標の関数であり、速度分布の形状を表している。定常解を数値的に求めてみると、非対称な渦対が生まれるまでの分岐を表すことができた。厳密に境界層近似を使うと剥離点で解が発散することが知られている。境界層近似の次のオーダーの項は多数表れるが、モデルの導出の際にその中から物理的に重要と思われる項をとりこんだので非現実的な発散が抑えられた。 来年度はこの縮約モデルの分岐の様子を完全なナビエストークス方程式の数値解と定量的に比較し、また非定常パターンを計算することにより、モデルが現象を再現するレイノルズ数の範囲を調べる。また、モデルに含まれる定数係数は速度分布形状の仮定の置き方より変わるので、この影響を調ベ、妥当な仮定を探す。モデルの定常解を探すことは常微分方程式系の境界値問題になるので、この構造を理解し、物理的直観を与えられる洞察や解析的な結果を引き出したい。
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