1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11740246
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Research Institution | Shohoku College |
Principal Investigator |
小田井 圭 湘北短期大学, その他部局等, 講師 (90233551)
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Keywords | バクテリオロドプシン / INDO / レチナール / 光異性化 |
Research Abstract |
(1)バクテリオロドプシンの光情報伝達のために欠かすことの出来ない発色団モデルの検討 計算に使用するバクテリオロドプシンの結晶構造はプロテインデータバンク(PDB)に登録されている2BRDを用いた。発色団レチナールモデルについては、2BRD中のレチナールに水素原子を付加してその水素原子のみを最適化した。このモデルはレチナールとシッフ塩基結合を形成しているLys216も結合させ、且つレチナール中の窒素原子をプロトン化させたものが最適であることを明らかにした。 (2)バクテリオロドプシン中の全アミノ酸をも含めた形で電子状態の計算を行なうための計算プログラムの開発及び計算方法の確立 発色団の電子状態を決定するために、周囲のアミノ酸残基を点電荷として考慮する摂動計算できるINDOプログラムを作成した。本プログラムは、早稲田大学理工学部の鈴木英雄教授のINDOプログラムを一部変更したものである。PDBのデータにない水素原子の座標は半経験的分子軌道法であるMNDO-PM3法によって決定した。レチナールモデルはINDO法により、全原子価殻電子系に対して計算を行なうが、周りのアミノ酸残基については計算機の限界から全ての原子価殻電子系を取り込むことはできない。そこで、発色団周りのタンパク質部分については、点電荷として摂動計算に取り入る方法を取った。アミノ酸残基に付加された水素原子をPM3法で最適化する際に、残基を1つずつ計算するのではなく、その該当残基を中心に前後1つずつの残基も考慮して、アミノ酸残基のトリペプタイドを形成して計算するという、新しい手法を開発した。これにより、該当残基のみではなくその前後の残基との電荷移動の効果も計算に取り入れることが可能である。 現在、計算により得られた光吸収極大波長・断熱ポテンシャルから光異性化モデルを検討中である。
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