1999 Fiscal Year Annual Research Report
断層近傍における強震観測に基づく地震断層破壊過程の研究
Project/Area Number |
11740251
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中原 恒 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20302078)
|
Keywords | 断層近傍 / 強震動記録 / 波形インバージョン / 岩手山 |
Research Abstract |
1998年9月3日,岩手山の南西約10kmを震央とする岩手県内陸北部の地震(M6.1)が発生し、断層の至近距離において良好な強震動記録が得られた。この地震は、活動度B級の活断層である西根断層群の一部が逆断層型の破断を起こしたものであった。 本研究では、防災科学技術研究所のK-NET等の合計7観測点の強震動記録を用いて波形インバージョン解析を行い、断層面上の地震モーメント解放量分布を推定した。その際、破壊開始点の深さは3kmとし、震源メカニズム解,余震分布,GPS等の地殻変動データを参考に10km×10kmの断層面を設定した。断層面は、北西側に向かって41°傾斜している。この断層面を1km四方の100個の小断層に分割した.各小断層には,同一の震源メカニズム解をもつ点震源を配置し,そのモーメント解放量を測定した。その結果、破壊伝播速度はS波速度の約0.7倍と測定された。また、断層面の主に浅い部分で大きな地震モーメントが解放されたことが明らかになった。一方、深さ8km以深には、断層破壊がほとんど及んでいない。総モーメント解放量は、3.9×10^<17>Nmとなった。本研究の結果を本震発生後1日間の余震分布と比較すると,モーメント解放量が大きいところでは余震活動が不活発であることが分かる.
|