2000 Fiscal Year Annual Research Report
海底電磁気観測で探る西九州プリューム・テクトニクス
Project/Area Number |
11740257
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
藤 浩明 富山大学, 理学部, 助教授 (40207519)
|
Keywords | 海底電磁気観測 / 地磁気変換関数 / 九州西方沖異常 / Genetic Algorithm / 薄層インバージョン / マントル上昇流 |
Research Abstract |
今年度は,これまで採取した海底電磁気データに加え,陸上で観測した磁場データから求めた地磁気変換関数の広域マッピングを行い,日本周辺での短周期地磁気時間変化異常として北から「北海道周辺」・「中部日本から伊豆小笠原弧北端部(これが従来の所謂「中部日本異常」)」・「九州西方沖」の三大異常が存在する事を改めて確認した.すなわち,陸上及び海底観測より求めた地磁気変換関数から海陸分布によって作られる部分を差し引くと,上記の3つの地域に有意な残差が残り,これらの残差が西九州においてはマントル上昇流の存在等の各地域に特有な地下構造を反映する事が分かった. 本研究では,これらの残差を定量的に説明するモデルを作るべく,Genetic Algorithmを用いた薄層インバージョンを試み,九州西方沖異常を説明するモデルを得た.すなわち,残差として残る西日本の強い西向きベクトルを再現する為には,九州西方沖から韓国南岸にかけての広い地域に余剰なコンダクタンスが必要な事を示した.この結果は,済洲島における最近の火山活動,及び,それに伴って実施された済洲島における電磁気観測の結果とも符号する.しかし,このモデルは残る2つの異常「北海道周辺」・「中部日本異常」を説明しておらず,少なくとも西九州での結果とこれら2つの異常がそれ程関係がない事,すなわち,九州西方沖異常と残り2つの異常とのカップリングが弱い事,については今後検証する必要がある. 以上の結果は,昨年11月に行われた地震学会で発表し,その際「北海道周辺」での地磁気変化異常が,オホーツク海の広域伸張応力場から予想される新たなマントル上昇流と関連しているのではないか(瀬野,私信)との指摘を受けた.本研究の成果は,国内研究会での議論(7月京大防災研研究集会)を更に深めた上で,指摘のあった新しいマントル上昇流の存在も考慮した結果を,来年度中に国際学術誌に投稿する予定である.
|