1999 Fiscal Year Annual Research Report
衛星海面フラックスと数値モデルの流速場から評価した混合層の貯熱量変動の研究
Project/Area Number |
11740265
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
根田 昌典 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10273434)
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Keywords | 混合層 / 熱フラックス / 衛星データ / 大気海洋相互作用 |
Research Abstract |
本研究では、海洋混合層の変動過程を解明するために、熱の水平移流を考慮した混合層の熱収支を評価し、海洋から大気への熱の再分配の時空間的な分布と変化を評価することを目指す。その第一年目として、人工衛星データを用いて海面フラックスを推定し、数値実験から得られた海洋表層の流速場とともに用いて混合層内部の熱収支を評価することを試みた。 人工衛星による海面温度や海上水蒸気量の推定手法や編集データセットのうち、代表的なものについて比較検討を行った。海面温度の推定については、MCSST法に基づくデータセットと現場観測データを含んだ客観内挿水温場の差は平均0.5℃以下であるが、空間変動の大きな海域においては客観内挿データに過剰な平滑化の傾向が見られた。また、海上水蒸気量の推定手法としては、可降水量を用いた経験式に基づくものよりもマイクロ波放射計の輝度温度を用いる手法の推定精度が良いことがわかった。 このような手法で海面フラックス場を衛星データから推定し、数値モデルによって計算した海面流速場から熱の水平移流の季節変動を推定することによって、大気海洋間の熱輸送の変動に対する混合層の熱収支の年変動/年々変動を評価した。まず、海洋表層の厚さを単純に全球一様に50mと仮定して熱収支を評価し、夏から秋にかけて北太平洋における海面の冷却が混合層下の冷水の取り込みによることなど、季節変動について従来指摘されてきた観測的な事実と定性的に一致することを確認した。この結果を踏まえて、現在、海洋観測データに基づく海面の鉛直構造の季節変動を仮定することによって混合層の季節変動を考慮した海面熱収支の評価を引き続き行っている。
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