1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11740266
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西 憲敬 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00222183)
|
Keywords | 熱帯 / 対流圏 / 発散 / 循環 / 逆転層 |
Research Abstract |
熱帯域対流圏の(水平)発散と温度における鉛直微細構造を、NCEP再解析(1958-97)とECMWFの全体解析データおよび数地点での高層観測データを用いて統計的に調べた。熱帯域で最も顕著な発散構造は、局所ハドレーおよび東西(ウォーカー)循環に伴うものであるが、これに重なる形で、浅い発散と収束の鉛直方向の組が、上部と中部対流圏で、熱帯域の随所に認められたため、これらを形態的に整理することを試みた。長期間平均をとったにもかかわらず、水平方向に細かいパターンが全球解析に卓越していることがわかった。(1)上部対流域では、150hPa付近と300hPa付近で発散場の空間分布が大きく異なることがわかった。特に、赤道インドネシア、ベンガル湾、西インド洋、南シナ海などいくつか領域では、北半球の夏に、この量高度で逆符号となっている様子が認められた。ベンガル湾について事例解析を行なったが、この発散と収束の対は、強弱を繰り返しながら、1ヶ月程度持続するようであった。(2)中部対流圏では、5km-7km付近でやはり鉛直方向の発散と収束の組が見いだされた。北部オーストラリアでの乾季の高層観測データを詳細に解析したところ、高度3kmにある境界層上面の逆転層に比べれば、はるかに弱いものの、7km付近に逆転層の多発が認められた。これは、過去の研究で指摘されているような赤道海洋上の積雲活動域でみられるOC付近の融解層に関係しているものとは、高度も地域も分離している、別種の大陸性のものとみられる。この研究で指摘された発散の微細構造は、赤道域擾乱の鉛直スケールや、オゾン前駆気体のような微量成分の輸送のような、熱帯域のいくつかの重要な問題に関係していると考えられる。
|