Research Abstract |
平成11年度は,平成11年6月17日から8月14日に行われた国際深海掘削計画(ODP)第186次航海で調査船JOIDES Resolution号に堆積学者として乗船し,このコアの解析を中心に研究を遂行した.航海では,三陸沖から2地点(1150,1151地点)において,全長1100mの堆積物・堆積岩コアの掘削に成功した.約9.5mの長さの水圧式または回転式コアラーで掘削されたコアは,1.5mの長さのセクションに分割され,各種物性を測定した後,半割された.半割されたコアは肉眼による記載を行い,スミアスライドで構成粒子群の解析を済ませたあと,半割コア表面の可視分光反射能特性値を,Minolta社製CM2002測定器を使用し,計測装置または手動で測定した.この結果,以下のことが判明した. 1.三陸沖1151地点では,時代によって堆積速度に違いはあるが、過去1600万年間,連続して堆積物が沈積・堆積していること. 2.堆積物およびその固結した堆積岩は,珪藻を主体とする珪質プランクトン化石の遺骸(生物源シリカ成分),粘土鉱物・石英・長石を主とする珪質砕屑物(陸源砕屑物成分)および,火山ガラスから構成される珪藻質泥岩である. 3.生物源シリカ成分と陸源砕屑物成分は主要2成分として,その量比が準周期的に変動し、卓越する2万年,4万年周期で変動し,より長い,および,短い周期の変動が重畳する.回収されたコア試料の物性と,孔内計測の物性データを比較検討すると,堆積物の組成とともに,色,密度,ガンマ線強度,帯磁率が同調して変動し,これらをつかって,長時間の高分解能の変動解析が可能である.
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