1999 Fiscal Year Annual Research Report
新生代を中心とした巻貝に対する甲殻類の捕食とその進化古生物学的意義
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11740288
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Cultural History |
Principal Investigator |
佐藤 武宏 神奈川県立歴史博物館, 学芸部, 技師 (30280796)
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Keywords | 捕食 / 捕食の頻度 / 殻の破壊 / 防御戦略 / 殻強度 / 形態変異 / 軟体動物 / 甲殻類 |
Research Abstract |
新生代における、軟体動物に対する甲殻類の捕食とその意義を探るため、今年度以下のような研究を行った。 現在の浅海環境で、甲殻類が軟体動物を捕食する頻度や、捕食様式、その結果生じる特徴的な捕食痕を明らかにするため、干潟に関しては、沖縄県西表島のマングローブ域において、キバウミニナ(巻貝)に特に注目してフィールド調査を行った。また、潮間帯〜潮下帯に関しては、神奈川県藤沢市の湘南海岸において、ダンベイキサゴ(巻貝)に特に注目してフィールド調査を行った。それぞれについて、現在統計的考察を行っている。また、この結果を踏まえて、水槽実験環境下での追試を行う予定である。 軟体動物、特に巻貝類は、捕食に対する形態的防御戦略として、殻を肥厚させたり、装飾を発達させるなど、殻強度を増すように進化したといわれている。この仮説を検証するため、荷重試験機を導入して、様々な軟体動物の殻の強度について試験を開始した。この試験に関しては次年度以降も引き続き実験を行い、充分数の標本を検討したうえで、結果を公表する予定である。 一方で、二枚貝類には積極的な逃避行動や、捕食圧の低い環境への退避など、生態的防御戦略をとるものがみられる。そこで、巻貝にはみられない防御戦略として、穿孔に注目して、その効果を検証した。千葉県館山市および神奈川県横須賀市の完新世の海成堆積物から得られた化石ウチムラサキガイ(二枚貝)について、生息環境と殻の形態変異に関して、多変量解析と破壊の頻度と破壊部位の分析を試み、その結果、少なくとも自分自身の殻長程度にしか穿孔を行わない場合では、捕食に対して自立った効果がないことを明らかにした。 以上の研究結果の一部については、論文として公表し、日本古生物学会において講演をおこなった。
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Research Products
(2 results)