1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11740289
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
掛川 武 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60250669)
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Keywords | リン酸塩ノジュール / REE / レーザーマイクロプローブ / 湧昇流 / 酸化還元 / 原生代 |
Research Abstract |
本研究ではリンの堆積物中へのトラップ過程、さらに再濃集(リン酸塩ノジュール形成)過程を研究する事により、地質時代の海洋の酸化還元状態を規定する事を目的とする。本年度はリン酸塩ノジュールと海洋還元化が結び付けて議論されている原生代後期試料、原生代前期試料について、研究を行った。主に顕微鏡による鉱物組織観察、EPMAを用いたリン等の元素マッピング、ICPを用いたMo,U,REEなどの分析、元素分析計による炭素、硫黄、窒素含有量測定、レーザーマイクロプローブ法による黄鉄鉱硫黄同位体分析、通常法による炭素同位体分析などを行った。後期原生代海洋は酸化的表層水と還元的低層水の2層構造に別れ、低層水にはリンが富んでいたとされる。海洋2層構造が崩壊し、湧昇流の活発化に伴いリンが浅海性堆積物に濃集したとする説が提唱されてきている。REEに関して堆積岩のセクションで、これら元素の濃集と枯渇がペアで見られた。この事は、リン酸塩鉱物濃集帯は堆積後の続生作用時に、周辺地層からリンを移動集積させ形成された事を示し、還元的海洋崩壊に伴う湧昇流がリンを無機的に濃集させたとする従来の説では説明できない事象を見い出した。MoとUの濃集が後期原生代、前期原生代試料で見られる事は、リンが有機物経由で堆積物に濃集した事を示す。すなわち、リン濃集帯形成の条件として、浅海における生物一次生産性の高さが要求される事が分かった。またレーザーマイクロプローブ法による硫黄同位体分析は、リン酸塩ノジュール形成条件として堆積物が科学的、同位体的に閉じた系である事が条件である事をしました。海洋2層構造崩壊よりも、地球環境温暖化、それに伴う生物生産向上がリン酸塩ノジュール形成のきっかけを作ったと現段階では結論付けている。
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Research Products
(1 results)