1999 Fiscal Year Annual Research Report
顕生代層状チャートの放散虫化石の化学組成から解読する海嶺熱水活動の経年変動
Project/Area Number |
11740295
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
加藤 泰浩 山口大学, 理学部, 助手 (40221882)
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Keywords | 層状チャート / 放散虫化石 / 希土類元素 / 海嶺熱水活動 / 顕生代 / Eu異常 / 経年変動 |
Research Abstract |
犬山市栗栖地域から欠落なく完全連続的に採集された三畳紀後期〜ジュラ紀前期の層状チャート854層について,10層毎に処理した.また一部の層準については,完全連続の20層を処理した.まず採集されたチャート試料を層理面に垂直に高速ダイヤモンドカッターで切断し,スラブを作製し(1次切断),このスラブの一部をフッ化水素酸処理し,放散虫化石を抽出した.放散虫化石試料には,一部に鉄・マンガン酸化物がコーティングされたものが含まれている場合があるが,これらは強力な希土類磁石により除外した.その結果,以下の予察的な結論が得られた. (1)希土類元素(REE)の総濃度,Ce異常,Eu異常は,Al,Fe,Mn濃度とそれほど有意な相関関係を示さない.したがって,REEは放散虫化石中に含まれていると推察される.しかし,2桁にも及ぶ濃度変化が認められ,REEが放散虫化石のどの部位に含まれているのかは不明である.今後の重要な課題である. (2)ほとんどすべての試料がCeの正異常を示し,遠洋海域の海水の酸化還元状態をCe異常から評価することは困難である。 (3)Eu異常は妥当な変動を示し,三畳紀後期〜ジュラ紀前期にかけて8〜9回の熱水活動の激しい時期が存在したことを示唆している.最も激しい時期には,現在よりも15倍程度熱水活動が活発であったと推察される.また,30万年以上の長期間,熱水活動が盛んな時期が存在した. (4)放散虫化石のEu異常は,海水のEu異常をよく反映しており,海嶺熱水の活動度をモニターするのに最適の試料である可能性が高い.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.KATO: "Rare earth elements as an indicator to crigins of skarn deposits:Examples of the Kamioka Zn-Pb and Yoshiwara-Sannotake Cu(-Fe)deposits in Japan"Resource Geology. 49・4. 183-198 (1999)
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[Publications] Y.KATO: "Genesis of the kamioka skarn deposits:An important role of clinopyroxene skarn and graphite-bearing limestone in precipitating sulfide ore"Resource Geology. 49・4. 213-222 (1999)
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[Publications] 加藤泰浩、木村進一: "西オーストラリア,ハマースレイ層群のブルギーダ鉄鉱層の全岩化学組成:その起源と低微量元素濃度の示唆"資源地質. 49・3. 175-189 (1999)
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[Publications] 藤永公一郎、加藤泰浩、君波和雄、三浦健一郎、中村謙太郎: "四国四万十帯北帯の牟岐累層に含まれる赤色頁岩の地球化学"地質学論集. 52号. 205-216 (1999)
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[Publications] 小澤大成、元山茂樹、井上宗弥 加藤泰浩、村田守: "四国東部みかぶ緑色岩類の岩石学的特徴"地質学論集. 52号. 217-228 (1999)
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[Publications] 中村謙太郎、加藤泰浩、石井輝秋: "インド洋中央海嶺ロドリゲス三重会合点における熱水変質玄武岩の地球化学"資源地質. 49・1. 15-28 (1999)