1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11740308
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
白井 誠之 東北大学, 反応化学研究, 助手 (70250850)
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Keywords | 黒鉛層間化合物 / 白金 / ナノシート / 触媒 |
Research Abstract |
本年度は,1.黒鉛層間への塩化白金の挿入,2.塩化白金-黒鉛層間化合物の水素還元挙動,3.白金-黒鉛層間化合物の構造について検討した。 1.450℃,0.3Mpaの塩素雰囲気下で黒鉛と塩化白金(V)を混合し,塩化白金を黒鉛層間に挿入した。得られた試料のXRDパターンから挿入量が1〜15wt%の範囲においては塩化白金-黒鉛層間化合物は第3ステージ構造をとることが分かった。EXAFSにより,1wt%の導入においても塩化白金は,分子が数個集ったクラスターとして黒鉛層間に存在することが分かった。また黒鉛層間での塩化白金の白金間距離は,バルクのそれと比較して0.06Å伸びて存在していることが示された。黒鉛層間では塩化白金の分子構造は歪んでいることが分かった。 2.5wt%の塩化白金を黒鉛内に挿入した試料を水素で昇温還元処理を行うと,200℃で水素消費ピークが観測された。参照として5wt%の塩化白金を黒鉛と混合した試料を水素で昇温還元処理を行うと,80℃と170℃に水素消費ピークが観測された。混合物では黒鉛表面と塩化白金の相互作用は弱く低温で還元が進行する。層間化合物では塩化白金が黒鉛層間に存在し,塩化白金と黒鉛層との相互作用が大きく還元に,より高温を要することがわかった。 3.5wt%の塩化白金を黒鉛内に挿入した試料を300℃で水素還元処理を行い,白金の形状を透過型電子顕微鏡により観察した。厚みが20〜30Åの白金シートが多数形成されていることがわかった。また,白金シート内には多数の六角形の孔が存在し,縁も一定の角度(120°)を持っていることが分かった。塩化白金-黒鉛層間化合物を還元処理すると,塩化白金や白金原子が黒鉛の六角網目構造による相互作用を受けながら凝集するため,特異的な形状を示した。
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