2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11740310
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
山路 稔 群馬大学, 工学部, 助手 (20220361)
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Keywords | 三重項 / エキシマー / レーザー光分解 / 発光 / 過渡吸収 / 無輻射遷移 / シクロファン / 光物理 |
Research Abstract |
ビフェニルの4と4'位をトリメチレン鎖2本で連結した[3.3](4,4′)ビフェニロファン(33BPP)を合成した。MM2計算によると33BPPのビフェニル環の長軸は平行な位置を保っている。比較のために、4、4'-ジメチルビフェニル(DMBP)を用いた。33BPPの吸収スペクトルはシクロヘキサン中、DMBPのものとほとんど違いがなかったため、基底状態ではビフェニロファンのビフェニル同士の相互作用は無い。33BPPは295Kでは寿命が42nsのエキシマー蛍光のみを、77Kの剛性溶媒中ではエキシマー蛍光に加え局部リン光が観測された。266nmのナノ秒レーザー光分解法を用いて得られた34NPPの295Kにおける過渡吸収スペクトルは、450nmと595nmに吸収帯が現れ、減衰の速度が36μ秒で一致した。また、77K剛性溶媒中でも同じ過渡吸収スペクトルが観察された。ベンゾフェノンを用いて33BPPへの三重項光増感により得られた過渡吸収スペクトルは直接励起により得られた過渡吸収スペクトルと一致した。このことから450nmと595nmの吸収帯は三重項BPPの吸収と同定した。33BPPの595nmの三重項の吸収の生成速度が2.2×10^7s^<-1>であったが、これは一重項エキシマー発光の減衰速度と一致していることから595nmの吸収は一重項エキシマーからの項間交差により生成した33BPPの三重項エキシマーによる吸収であると結論した。DMBPの三重項吸収の極大波長は378nmであり、33BPPの三重項吸収とは大きく異なっている。77Kでは局部リン光が観測されていることから、33BPPの450nmの過渡吸収帯は局部三重項の吸収帯であると同定した。また、77Kではエキシマーリン光が観測されていないことから33BPPの三重項エキシマーは無輻射過程により失活することが結論される。
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