1999 Fiscal Year Annual Research Report
ピコ秒時間分解赤外分光法による導電性高分子の光誘起電荷分離・再結合過程の研究
Project/Area Number |
11740311
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
坂本 章 埼玉大学, 理学部, 講師 (90262146)
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Keywords | ピコ秒時間分解赤外分光法 / 導電性高分子 / 光誘起電荷分離 / 電荷再結合 |
Research Abstract |
(1)波長可変なパルス赤外光を光源とするピコ秒時間分解赤外吸収測定装置の製作 ピコ秒チタン・サファイア再生増幅器の基本波出力を用いて光パラメトリック発生・増幅器を励起し,得られるシグナル光とアイドラー光の差周波を発生することにより,波数範囲4000-900cm^<-1>,パルス幅約1ピコ秒のパルス赤外光を得た.この波長可変なパルス赤外光を用いて,ピコ秒時間分解赤外吸収測定装置を製作した.試料を励起するポンプ光には,ピコ秒チタン・サファイア再生増幅器出力の第二または第三高調波(非線型光学結晶を本研究費補助金で購入,波長:388または258nm,パルス幅:約2ピコ秒)を用いた.ポンプ光とプローブ光の相互相関時間は約2.8psであった. (2)導電性高分子のピコ秒時間分解赤外吸収スペクトルの測定と解析 導電性高分子ポリ(p-フェニレンビニレン)―(C_6H_4CH=CH)―_nを,液体窒素冷却クライオスタット(本研究費補助金で購入)のコールドヘッドに装着し,クライオスタットで温度制御した試料にポンプ光を照射し光励起状態を生成させて,ピコ秒時間分解赤外吸収スペクトルを測定した.配向したポリ(p-フェニレンビニレン)フィルムを用いて,光誘起赤外吸収のポンプ光とプローブ光の偏光依存性も測定した.これらの測定により,光励起直後に生成する束縛ポーラロン対とそこから電荷分離した電荷担体(ポーラロン)の同定と,光誘起電荷分離過程および電荷担体の再結合・消滅過程のダイナミックスを明らかにした.
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