1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11740314
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
星名 賢之助 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (60292827)
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Keywords | アセチレン / 二酸化硫黄 / 高分解能分光 / 分散蛍光 / 非調和共鳴 / コリオリ相互作用 / IVR |
Research Abstract |
今年度は,アセチレン(C_2H_2)および二酸化硫黄(SO_2)分子について高分解分光法を用いて振動・回転状態エネルギーを明らかにし,それらの解析から振動ハミルトニアンを求めIVRダイナミクスを明らかにした.得られた成果は以下の通りである。 1.アセチレン分子の赤外-紫外励起分散蛍光(IR-UV-DF)分光 高分解能IR-UV-DF分光法を用いて,これまで観測されなかった基底X^1Σ^+_g状態のungerade振動準位を10000cm^<-1>以下に117個観測し,これらを含めた276個の振動準位を再現する,非調和共鳴を考慮した有効ハミルトニアンを決行した.この有効ハミルトニアンをもとにアセチレンのIVRダイナミクスの経路,時間スケールを決定することができた.たとえば,振動エネルギー7000cm^<-1>の領域では,(0,1,0,7^3,1^<-1>),(0,0,1,6^2,0),(0,1,0,7^1,1^1)の3つの準位間でほぼ1ピコ秒程度で振動エネルギー移動を起こしていることが分かった. 2.SO_2分子の高分解能DF分光 SO_2C状態からの高分解能DFスペクトルにおいて,本来遷移が対称禁制な準位への蛍光が観測された.これは,C状態におけるコリオリ相互作用によって,a_1およびb_2対称性をもつ振動準位が相互作用したためである.コリオリ相互作用を考慮した振動回転解析から,C状態におけるIVRダイナミクスを明らかにした. 以上のように,周波数領域実験から2つの多原子分子のIVRダイナミクスが明らかとなり,フェムト秒パルスを用いたポンプ・プローブ実験の設計が可能となった.
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