2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11740315
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牛山 浩 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (40302814)
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Keywords | 化学反応動力学 / 多次元トンネル / 半古典理論 / プロトン移動 / 協同現象 |
Research Abstract |
生体内反応のように多くの粒子が関与する系の量子効果を調べるため、量子化学計算から直接ポテンシャルの微分を求めながら半古典計算を行なっている。こうした第一原理分子動力学法に基づいた半古典計算は、ポテンシャルの計算に膨大な時間がかかるため、全く行われていなかった。我々は新しいタイプの数値積分法を考案し、第一原理に基づいた半古典計算を実行可能なものにした。この数値積分法は、局所的な解析解を与えるため、化学動力学計算や半古典計算に向いているばかりが計算スピードも従来の数値積分法よりも数倍速い(論文投稿中)。 この数値積分法でギ酸二量体におけるダブルプロトン移動反応を扱った。量子化学計算によりポテンシャル面を構築すると、2つの水素原子が同時に移動する方が別々に移動するよりもエネルギー的に安定なのが分かる。しかし、実際に動力学計算を行なってみると個別に水素原子が移動する(一つの水素移動に引き続き、もう一つの水素原子が移動する)。また、原子電荷密度の変化から水素移動と電子状態の変化を調べた結果、一つめの水素は、熱的に移動し、その後骨格の変化に伴い、電子がもう一つの水素を引き付けるべく状態を変化させ、二つめの水素が移動することが分かった。こうした知見は、我々が行なった計算で初めて明らかになった(論文投稿中)。 さらに、トンネル効果を考慮した計算を行なった結果、トンネル現象が関与した場合でも、二重水素移動反応は逐次的に起こることが分かった。我々が発見した「一つの水素は熱的に移動し、もう一つの水素は骨格の変化に伴い静的に移動する」という逐次的なダブルプロトン移動のメカニズムは、アザインドール2量体の励起状態での水素移動反応でも実験でその痕跡が見つかっており、DNA塩基対に代表される分子二量体におけるダブルプロトン移動では一般的な現象ではないかと考えている。
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Research Products
(1 results)