2000 Fiscal Year Annual Research Report
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11740316
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 徹 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (70292779)
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Keywords | 非断熱遷移 / 非経験的分子軌道法 / 非断熱相互作用 / ポテンシャルエネルギー面 / 電子励起状態 / 動力学 / 脱離過程 / 密度演算子法 |
Research Abstract |
本年度は以下に挙げる気相光化学反応機構及び表面吸着分子の脱離機構の理論的解明に取り組んだ。(1)基底状態(X)から第二励起状態(B)への励起(Hartleyバンド(230-311nm))によるオゾン分子の光解離は実験・理論の両面から詳細に研究されてきた。しかし、B状態における量子動力学によっても実験研究を再現できていない。この光解離では基底状態と3つの励起状態が関与する電子状態間遷移の重要性が指摘されてきた。そこで、非経験的分子軌道法により各状態間の非断熱相互作用行列要素を求め、非断熱遷移がオゾン分子の解離に与える影響を調べた。(2)常温においてスチルベンはcis-trans異性化反応を起こさないが光励起することにより容易に異性化する。スチルベンのエチレン部の捩れを反応座標として基底状態及び一重項第一・第二励起状態についてのポテンシャルエネルギー面を動的電子相関の効果を含んだ非経験的分子軌道法(多配置多体摂動法:MRMP)によって求め、異性化反応のメカニズムの解明を試みた。(3)電子励起状態が重要な役割を果たすプラチナ金属表面に吸着した一酸化窒素分子の光脱離機構は依然明らかにされていない。そこで、脱離機構全解明するための実験(電場の影響の観察等)を提案し、実験結果から帰結される脱離機構を理論的な観点から考察した。具体的にはAntoniewicz型及びMGR(Menzel-Gomer-Redhead)型モデルポテンシャルを用いて、DIET(Desorption Induced by Electronic Transition)やDIMET(Desorption Induced by Multiple Electronic Transition)での脱離速度を波束法と密度演算子法より求めた。その結果、電場の影響による脱離速度の変化から脱離のメカニズムが推定できることを示した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] P.Soalfrank,G.Boendgen,C.Corriol,T.Nakajima: "Direct and indirect DIET and DIMET from semiconductor and metal surface : What can we learn from 'toy Model'?"Faraday Discussions. 117巻. 65-83 (2000)
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[Publications] H.Tsujii,T.Nakajima,K.Yamashita: "A Theoretical Study on Al-CVD using Dimethylathylamine alane"MRS proceeding. (in press). (2000)