1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11740327
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
和泉 研二 山口大学, 教育学部, 助教授 (70260677)
|
Keywords | インスリン / 動的光散乱法 / 凝集体 / 核形成 / 蛋白質 |
Research Abstract |
これまでの凝集体生成機構では、「凝集体が自発的に成長を始めるのに必要な大きさ(臨界半径)は、過飽和度に依存する。」とされてきた。ところが近年、自己凝集理論に基づいく解析から、蛋白質では臨界核を構成する分子数は一定であり、過飽和度に寄らず臨界核の大きさは変化しない可能性が指摘された。本研究は、粒子の大きさが決定可能な動的光散乱測定の高性能化を謀り、測定精度を向上することによって、複数個の分子ユニットからなる臨界核をダイレクトに検出し、凝集体生成の機構蛋白質の折出機構が、これまで低分子で受け入れらた従来の折出機構と異なるのか否かを明らかにすることを目的とする。 動的光錯乱法は、溶液中でブラウン運動している微粒子の大きさを直接測定できる方法である。平成11年度は、高感度光検出システムを新規導入し、光源に高輝度半導体固体レーザーを用いるなど、測定システムを高性能化した。順次予備実験を実施しており、これまでのところ、ある過飽和溶液中で約10〜20nmの大きさの凝集体の存在を確認した。現在、さらに系統的な実験を進めており、その凝集体のサイズがインスリン濃度やpHなどの条件の変化に応じてどのように変化するのかを追跡中である。 H11年度には、水溶液中で成長しているインスリン結晶表面の原子間力顕微鏡によるその場観察も行った。その結果、結晶表面上に、その外観の大きさからインスリン六量体が数個程度集まって形成されていると判断できる凝集体が存在する像を得ることができた。結晶表面上に観察された凝集体が、果して何個のインスリン六量体からなっているのかを直接分解して観察することはできなかったが、溶液中での凝集体の生成を指示する有力な証拠が得られたと考える。
|