1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11740347
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大森 建 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (50282819)
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Keywords | ヒドロアルミニウム化 / グループ選択性 / 三級アルコール / アセチレン |
Research Abstract |
本研究は新しいグループ選択的反応の開発を第一の目的とする。グループ選択的反応は、分子内の同一官能基のうちの一方を選択的に変換する形式の反応であり、潜在的対称性を生かした合成デザインの鍵となり得る。 本年度は、研究の第一歩として隣接位に不斉点を有するビスアルキニルアルコールに対するヒドロアルミニウム化反応を検討した。当反応で得られる生成物は、多様な選択的変換が可能なアルケニル基とアルキニル基を備えた三級アルコールであり、種々の天然物合成への応用が期待できる。 はじめに、乳酸およびグリセリン酸から容易に誘導可能なビスアルキニルアルコールを調製し、反応を試みた。検討の結果、THF中、0℃にて水素化リチウムアルミニウムを作用させると、反応が円滑に進行し、対応するアルキニルーアルケニル置換アルコールが高収率かつ高グループ選択的に得られることが分かった。さらに、当反応に関して検討を加えたところ、THF中、-78℃でn-BuLiを作用させた後、水素化ジイソブチルアルミニウムで処理したところ、グループ選択性を大幅に向上させることができた。なお、興味深いことに基質として乳酸誘導体を用いた場合とグリセリン酸誘導体を用いた場合では、グループ選択性の様式が異なることが分った。そこで、この一連の反応におけるグループ選択性の発現機構を解明するために、溶媒、金属の種類及び基質が反応に及ぼす影響を調べた。その結果、反応はキレート構造を経て進行し、高いグループ選択性を発現していることが示唆された。
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