1999 Fiscal Year Annual Research Report
立体保護を利用した三配位ジルコニウム-16族元素間二重結合化学種の創製
Project/Area Number |
11740357
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
武田 亘弘 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 助手 (80304731)
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Keywords | 立体保護 / 速度論的安定化 / 有機ジルコニウム化合物 / ジルコニウム-16族元素間二重結合 |
Research Abstract |
ジルコニウム-16族元素間二重結合化学種に関しては、近年盛んに研究が行われており、メタセロン誘導体や、窒素やリンを含む多座配位子の配位結合により安定化された高配位錯体がいくつか報告されている。しかしながら、金属一炭素σ結合を有するジルコニウム-16族元素間二重結合化学種の合成はいまだ報告されておらず、その性質に興味が持たれる。本研究では、申請者らがこれまで種々の高周期典型元素多重結合の速度論的安定化に応用してきた有用な立体保護基である2,4,6-トリス[ビス(トリメチルシリル)メチル]フェニル(Tbt)基による安定化の研究対象を、遷移金属を含む二重結合まで拡張して、三配位ジルコニウム-16族元素間二重結合化学種を安定な化合物として合成単離し、その未知なる構造・性質の解明を行うことを目的とした。 まずジルコニウム原子上へのTbt基の導入について検討を行ったTHFまたはエーテル中、-78℃においてTbtLiにZrCl_4を加えた後、室温まで昇温したところ、ジルコニウム上にTbt基がいったんは導入されたものの昇温過程で炭素-ジルコニウム結合が切断されたと考えられる結果が得られた。そこで、-78℃、THF中において反応を行った後に昇温しながら溶媒を留去したところ、TbtZrCl_3(1)と考えられる化合物の生成が^1HNMRにおいて確認された。しかしながら未だ1の単離には至っておらず、現在単離および単結晶化の検討を行っている。単量体の炭素置換のジルコニウムトリクロリド(RZrCl_3,)は未だ構造解析された例はなく、またオレフィン重合などの触媒への応用も期待される化合物であるため、この結果は非常に興味深い。今後は、TbtZrCl_3を原料として目的の三配位のジルコニウム-16族元素間二重結合化学種の合成を行う予定である。
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Research Products
(1 results)