1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11740360
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
柴田 高範 岡山大学, 理学部, 助教授 (80265735)
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Keywords | 不斉反応 / 自己触媒系 / 不斉アルキル化反応 / ジアルキル亜鉛 / エナンチオ選択的 |
Research Abstract |
これまで不斉収率、触媒効率の面から非常に汎用性の高い触媒的不斉合成反応が報告されているが、それら従来全ての不斉反応では、不斉触媒と生成物の構造が異なる。一方私は、用いる不斉触媒と得られる生成物の構造ならびに絶対配置が同一である「不斉自己触媒反応」の開発を行っている。その結果私は、ピリミジン-5-カルバルデヒドのジアルキル亜鉛による不斉イソプロピル化反応において、初めて高エナンチオ選択的不斉自己触媒反応を実現した。本反応で、ピリミジン環の2位の置換基がエナンチオ選択性に大きく影響するという知見を足がかりに、さらに高効率かつ高エナンチオ選択的な不斉自己触媒系の創製を行った。 分子の対称性、電子内および立体的影響を考慮し、2位の置換基としてアルキニル基を導入した5-ピリミジルアルカノールを不斉自己触媒として用いて検討した。その結果、立体的に嵩高くするとともに不斉自己触媒能が向上し、アルキン末端が第3級ブチル基、トリメチルシリル基の場合最も高いエナンチオ選択性を示した。 化合物の安定性、合成的簡便さからピリミジン環の2位の置換基を第3級ブチルエチニル基とし、光学的にほぼ純粋な(>99.5%e.e.)アルコールを不斉自己触媒として用いた。その結果、極めて高い不斉収率(99.1%e.e.)のみならず極めて高い化学収率(98%)で反応が進行した。反応条件を精査した結果、反応溶媒としてクメンを用い、1.7等量のジイソプロピル亜鉛を添加した場合、ほぼ完全なエナンチオ選択性かつほぼ定量的に反応が進行した。さらに本反応が自己触媒系であることを活かし、得られた5-ピリミジルアルカノールを次の反応の触媒として用いる連続反応を10回繰り返したところ、いずれの反応も化学収率>99%、不斉収率>99.5%e.e.で進行することから、従来の不斉反応でも報告例の少ない完全不斉反応を自己触媒系で達成したと言える。
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[Publications] Kenso Soai, Takashi Konishi, Takanori Shibata: "Highly Enantioselective Addition of Dialkylzincs to Aromatic Aldehydes using 1-Phenyl-2-(1-pyrrolidinyl)-1-propanol as a Chiral Catalyst"Heterocycles. 51. 1421-1426 (1999)
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[Publications] Takanori Shibata, Kazuhiro Nakatsui, Kenso Soai: "Highly Enantioselective Catalytic Isopropenylation of Aldehydes using Diisopropenylzinc"Inorganica Chimica Acta. 296. 33-36 (1999)
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[Publications] Kenso Soai, Takanori Shibata: "Comprehensive Asymmetric Catalysis"Springer, Berlin Ed. by E. N. Jacobsen, A. Pfaltz and H. Yamamoto. 13 (1999)
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[Publications] Kenso Soai, Takanori Shibata: "Asymmetric Autocatalysis and Biomolecular Chirality in Advances in Biochirality"Elsevier Science, Oxfor Ed. by G. Palyi, C. Zucchi and L. Caglioti. 13 (1999)