1999 Fiscal Year Annual Research Report
石灰化酵素モデル錯体によるバイオミネラリゼーション機構の再現
Project/Area Number |
11740363
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中田 耕 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (90250414)
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Keywords | 石灰化 / 酵素モデル- / バイオミネラリゼーション / 二酸化炭素 / 水和 / 炭酸カルシウム |
Research Abstract |
貝類やサンゴでは酵素を用いてCO_2から貝殻やサンゴの骨格であるCaCO_3を形成している.酵素反応をモデルとして,活性中心に類似したモデル化合物を用いて人工的にCO_2をHCO_3^-,CO_3^<2->とし,さらにCa^<2+>によって固体のCaCO_3へ穏和な条件でスムースに変換することが本研究の目的である. 酵素に関する研究から,この酵素はCO_2の水和を行う部分(Zn^<2+>を含みCO_2水和機能をもつ酵素carbonic anhydraseの活性中心と類似した部分)とCa^<2+>との反応を相当するカルボキシル基(-COOH)を多く含んでいる部分から成る事が明らかになっている.モデル錯体に用いる配位子としては,carbonic anhydrase活性中心との類似性を保つためこれまで申請者がcarbonic anhydrase活性中心のモデルのために用いてき3つベンズイミダゾールをもつ配位子を基本とし,Ca^<2+>結合サイトとして配位子の一方の端にカルボキシル基を導入したものを設計・合成した.さらに,得られた配位子の酸解離定数およびZn^<2+>との錯生成定数を求めるためにpH滴定を行なった.また,^1HNMR滴定による化学シフトの変化から,酸解離する部位を特定した.この配位子による亜鉛錯体は水および有機溶媒に対して溶解度が極めて小さく,種々の測定には困難が予想される.溶解度の問題を解決するために現在,3つベンズイミダゾールのベンゼン環上にスルホン酸基を導入したtris(2-benzimidazolylmethyl)amine型の配位子を合成し,その亜鉛錯体によるCO_2の水和について,HCO_3^-の生成およびその速度論に展開しつつある.
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