1999 Fiscal Year Annual Research Report
新規なシリルボランおよびスタニルボラン配位子の開発とその金属錯体合成への展開
Project/Area Number |
11740369
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 泰朗 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (10262099)
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Keywords | ボラン / シラン / シリルボラン / スタニルボラン / 金属錯体 / ボリル錯体 |
Research Abstract |
本研究を遂行するにあたって,はじめにボラン類と金属錯体の反応による,ボリル錯体の合成法の確立と,生成する錯体の構造および反応性の検討を行い,続いてシリルボラン,スタニルボランの合成について検討した. (1)ボリル錯体の合成とその構造 ボラン-ホスフィン付加物は極めて安定なホウ素化合物であり,同時にアルカンと等電子的な化合物である.本研究では電子豊富なモリブデン,タングステン,および鉄のメチル(カルボニル)錯体トリメチルホスフィンボランとを光照射下に反応させる事により,新規なボリル金属錯体を合成することに成功した.この反応はsp^3型ボランのホウ素-水素結合が切断されると同時に金属-ホウ素結合が形成されるという全く新しいタイプの反応であり,同時に金属錯体によるアルカンの活性化およびシラン類の活性化と関連深いものである.そこで,続いてこの反応をケイ素部位とホウ素部位を同時に含むシリルボランおよびその類縁体であるスタニルボランに応用することを考えた. (2)シリルボランの合成 初めにホスフィンボランをハロゲン化してクロロボランまたはヨードボランを合成し,これを低温で還元して4配位ボリル陰イオンを発生させることを試みた.このタイプの陰イオンは,かさ高いホスフィンを有するボランで,今本らによって合成されている.続いて発生した陰イオンとクロロシラン類との反応により,シリルボランを合成した.現在のところ目的化合物の単離には至っていないが,シリルボラン生成の証拠を得ている.今後この化合物と金属錯体との反応を検討する予定である.
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[Publications] 河野 泰朗: "BH Bond Activation of Trimethylphosphosphineborane by Transition Metal Complexes : Synthesis of Metal Complexes Bearing Nonsubstituted"Journal of the American Chemical Society. 121・50. 11744-11750 (1999)
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[Publications] 安江 崇裕: "Syntheses and Structures of Trimethylphosphine-Complexed Primary Boryl Complexes of Group 8 Metals, CP^*M(CO)_2(BH_2・PMe_3)"Chemistry Letters. 1号. 58-59 (2000)