1999 Fiscal Year Annual Research Report
無機高分子をバックボーンに用いた有機金属錯体の高集積化
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11740371
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
久保 和幸 広島大学, 理学部, 助手 (90263665)
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Keywords | 無機高分子 / ポリホスファゼン / モノマー / メタラホスホラン / メタラホスフィンイミド |
Research Abstract |
ポリホスファゼンの前駆体であるホスホラン、ならびにイミノホスホラン(ホスフィンイミド)に遷移金属フラグメントを導入したメタラホスホラン、メタライミノホスホランはともに表題化合物合成の出発化合物として有効であると考えられるが、これまでにその合成例は殆どない。そこで本年度はこれらの合成法の開発を中心に検討した。 1.メタラホスホランの合成:トリフェニルホスファイトを配位子とする鉄錯体にふっ化物イオンを反応させることによって目的の鉄-フルオロホスホランが生成することを各種スペクトルから明らかにし、その特異な性質について考察した。しかしこの化合物は極めて不安定であり、後のポリマー化の前駆対として用いることは現時点においては困難であるため、今後この錯体の安定化等の検討がさらに必要である。 2.メタライミノホスホランの合成:鉄-クロロ錯体に対してリン上にビス(トリメチルシリル)アミノ基を有するホスファイトを反応させると、1分子のトリメチルシリルクロライドの脱離を伴って目的の鉄-イミノホスホランが生成することを明らかにした。この反応はまずリン配位子とクロライドイオンの置換反応が進行した後、生成したカチオン錯体における窒素上のケイ素原子が遊離クロライドイオンの求核攻撃を受けることによって進行すると考えられる。この反応はメタラホスフィンオキシド合成反応として知られているArbuzov型脱アルキル化反応の類似反応としても非常に興味深い。ここで生成したメタライミノホスホランは水や空気には不安定であるが、熱的には比較的安定で単離することにも成功しており、今後ポリマー化への展開が十分期待できる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kazuyuki Kubo: "Formation of Iron-Fuluorophosphorane Complexes(η^5-C_5H_5)(CO)Lfe{P(Oph)_nF_<4-n>}(L=CO,P(Oph)_3;n=0.1)and(η^5-C_5H_5)(CO)_2Fe{P(OC_6H_4NMe)F_2} Nucleophilic Attack of F^- toward a Trivalent Phosphorous Atom Coordinated to a Transition Metal"Organometallics. 18・21. 4311-4316 (1999)
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[Publications] Hiroshi Nakazawa: "Syntheses, Structures, and Berry Pseudorotation of Ruthenium-Phosphorane Complexes"Organometallics. 18・16. 2961-2969 (1999)