1999 Fiscal Year Annual Research Report
新規触媒開発を目的とした硫黄架橋を含む貴金属-モリブデン錯体の合成と物性
Project/Area Number |
11740376
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
赤司 治夫 岡山理科大学, 自然科学研究所, 講師 (30221708)
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Keywords | モリブデン錯体 / ロジウム錯体 / イリジウム錯体 / 貴金属錯体 / 硫黄架橋錯体 / 触媒反応 |
Research Abstract |
本研究の第一目的である新規の貴金属硫黄結合をもつ多核金属錯体の合成に成功した。 [{Mo_3RhCp^*S_4(H_2O)_7(O)}_2](CH_3C_6H_4SO_3)_8・20H_2O(1)および[{Mo_3IrCp^*S_4(H_2O)_7(O)}_2](CH_3C_6H_4SO_3)_8・20H_2O(2)の単結晶の合成に成功し、そのX線結晶構造解析をおこなった。Rh-S-Moクラスター錯体錯体1は-180℃付近で結晶構造相転移を起こし、その結晶系が単斜晶系から三斜晶系に変化することが明らかになった。この結晶構造解析結果とその温度依存性に関する物性はスコットランドで開催された国際結晶学会において報告した(XVIII thIUCrCongress&General Assembly Abstract No.P07.07.041,Glasgow,Scotland,August 1999)。錯体1と結晶学的に同形であるIr-S-Moクラスター錯体2ではこのような結晶構造の温度依存性は観測されなかった。 本研究において合成したこれらの錯体について、構造解析以外の物性を測定した。本年度は特にRh-S-Moクラスター錯体錯体1を中心に研究を進めた。その結果、1の紫外・可視領域における電子スペクトルが、溶液中の塩化物イオン濃度に敏感に反応して、大きく変化する性質があることがわかった。この変化のメカニズムに関しては引き続き研究していく。有機小分子と1との反応に関しては、現在までのところ成功していない。原因として、ロジウム原子に配位しているシクロペンタジエニルが、きわめて安定であるため、反応サイトとなるロジウム部位がふさがれてしまっていることにあると考えている。
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