1999 Fiscal Year Annual Research Report
ニュートラルキャリア型イオンセンサー用感応膜母材としての生体適合性材料の検討
Project/Area Number |
11740411
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
矢嶋 摂子 和歌山大学, システム工学部, 助手 (80272350)
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Keywords | 生体適合性材料 / イオン選択性電極 / ニュートラルキャリア型イオン感応膜 / センサー特性 / リン脂質高分子 |
Research Abstract |
1.イオン選択性電極は、その優れた特性により既に臨床分析に用いられているが,一般にイオン感応膜の支持体には抗血栓性に乏しいポリ塩化ビニル(PVC)が用いられているため,生体試料,例えば血液中での測定時,膜表面に血栓が生じる可能性があり,特にin situ測定において問題がある。本研究では,臨床分析においてin situ測定が可能なイオンセンサーの開発を目的として,イオンセンサーに適切な生体適合性材料を設計合成し,それを用いて作製したイオン選択性電極の電位応答を評価した。 2.生体適合性材料としては,リン脂質部位を含む高分子を用いることにした。2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)とメタクリル酸エステル(RMA)との共重合により得られた材料を選んだ。メタクリル酸エステルのアルキル基としては,エチルヘキシル基とブチル基を選んだ。MPC:RMA=3:7とし,分子量が50万前後のものを用いた。また,PVCを支持体とするイオン感応膜としては,代表的な,カリウムイオン選択性をもつバリノマイシンの液膜(膜溶媒はセバシン酸ジオクチル)を選んで検討した。リン脂質高分子は,様々な濃度(5.0wt%以下)のエタノール溶液に,あらかじめ作製したイオン感応膜を浸漬後乾燥することで被覆し,実験に用いた。 3.抗血栓性高分子で被覆したイオン感応膜を用いて,カリウムイオンに対する電位応答を測定したところ,0.5wt%よりも低い濃度の溶液で被覆した膜はネルンスト応答を示した。被覆に用いる溶液の濃度を高くするにつれ,電位応答の傾きは次第に小さくなった。応答時間はリン脂質高分子を被覆していない膜と比較して,ほとんど変化がなかった。以上より,比較的濃度の低いリン脂質高分子溶液で被覆したイオン感応膜の電位応答は損なわれていないことがわかった。
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