2000 Fiscal Year Annual Research Report
第二高調波発生による高感度検出をめざした電極表面吸着分子によるイオン認識場の創製
Project/Area Number |
11740412
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石岡 寿雄 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助手 (60304838)
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Keywords | SHG / 第二高調波発生 / 分子認識 / 自己組織化単分子膜 / アントラキノン / チオ尿素 / 水素結合 |
Research Abstract |
本研究の目的は,電極-溶液界面にホスト分子の自己組織化単分子膜を構築し,ゲスト分子との相互作用により生じた界面分子の配向変化を,ゲスト分子の検出法として応用しようとしたものである.具体的にはゲスト分子として生体中での複雑な変化をするリン酸イオン系を検出対象とし,検出法として界面選択的な分光法である表面第二高調波発生を採用した.得られた実績は,以下の通りである. 1.界面に吸着する機能をもったホスト分子としてN-(1-anthraquinonyl)-N-octylthiureaを設計し,新規合成した.この分子が金単結晶表面に吸着・自己組織化することを確認した. 2.上記の物質が電極表面において可逆的に酸化還元すること,ならびにリン酸二水素イオン存在下で電気化学的応答が見られることを確認した. 3.レーザー光を水溶液/金単結晶電極上に照射し,発生する第二高調波を検出する装置を開発し,リン酸二水素イオン存在下で第二高調波の強度が増大すること,ならびに界面におけるホスト分子の対称性が大きく変化することを見い出した. 1〜3の実験事実より,新規合成したホスト分子が界面においてリン酸二水素イオンと錯生成し,表面における配向変化を誘起することが明らかとなった.また誘起された配向変化により,水溶液中のリン酸二水素イオンが電気化学的検出のみならず配向状態変化に鋭敏な分光法,表面第二高調波発生を検出に用いて検出可能であることが確認された. 上記の手法は分子の認識手法として全く新しい手法である.また水溶液中では従来大量に存在する水分子のために非常に困難であった水素結合を用いたイオン認識が,界面という環境および配向変化という手段を用いて容易に可能になった例としても意義がある.今後より適切な分子設計により,高感度,高選択的なアニオンセンサーとしての応用展開が期待できる.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] ISHIOKA,T,;UCHIDA,T.;TERAMAE,N.: "Time-resolved Near-infrared Surface-cnhanced Raman Spectroscopy of a Surface-confined Electrochemical Reaction of 9, 10-Phenanthrenequinone"Bull.Chem.Soc.Jpn,. 72. 2713-2717 (1999)
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[Publications] ISHIOKA,T.;SENO,K,;SASAKI,S.;HARATA,A.: "Surface Excess of Dye Molecules at Gas/Water Interface Determined by Single-Photon Ionization Spectroscopy"UVSOR Activity Report. 70-71 (1999)
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[Publications] ISHIOKA,T.;HARATA,A.: "Formation of host-guest complex monolayer at Au (111) electrode surface as a new environment for anion recognition"Books of Abst.2000 Int.Chem.Cong.Pacific Basin Soc.(Honolulu 2000). 2ANAL. 728 (2000)