1999 Fiscal Year Annual Research Report
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11740414
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
吉原 基二郎 群馬大学, 医学部, 助手 (80222397)
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Keywords | シナプス / ショウジョウバエ / 遺伝解析 / 神経筋接合部 / シナプトブレビン / cAMP / エンハンサー・トラップ / NPプロジェクト |
Research Abstract |
(1)シナプス可塑性、形成機構解明の為のシナプトブレビン突然変異体の解析 シナプス小胞タンパクであるシナプトブレビンが完全に欠失したショウジョウバエ突然変異体を神経筋シナプスにおけるシナプス伝達についてバッチクランプ法を用いて電気生理学的に解析したところ、神経の興奮に同期して生ずる神経誘発電流が特異的に欠損していることがわかった。一方、形態学的な解析を行ったところ、シナプトブレビンが存在しなくても正常なシナプスが作られることがわかった。シナプトブレビンにおいても残存する微小シナプス電流を解析したところ、微小シナプス電流の生ずる頻度は細胞外カルシウム濃度に依存することがわかった。さらに、シナプス可塑性の機構にアプローチする目的で、cAMPによる調節を調べたところ、シナプトブレビン突然変異体では細胞外カルシウムが存在しないとcAMPによる微小シナプス電流頻度の促進がみられないことがわかった(Yoshihara et al.1999)。この結果は、cAMPによるシナプス可塑性の機構に二つの経路が存在することを示唆しており、さらに、カルシウム存在下での実験によってこのことを確認した(投稿中)。 (2)新規突然変異体の単離、解析 さらに新たなシナプス形成に関与する遺伝子を単離するため、エンハンサー・トラップ系統の大規模なスクリーニングを行った。エンハンサー・トラップ用のP因子としてはイーストの転写因子GAL4を発現させることのできるP因子を使用した(Brand and Perrimon,1993)。申請者と基礎生物学研究所の伊藤啓博士のふたりが中心になって、全国の有力研究所と連携して全国規模のコンソーシアムを形成した(NP project)。主に研究代表者がそのシステムの改良を行い、全メンバーによってこのP因子挿入を持つ約5000系統を樹立した。この系統から発現パターンによって多くのシナプス形成に関する突然変異体の候補を得ている。
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[Publications] Yoshihara,M.: "Selective effects of neuronal-synaptobrevin mutations on transmitter release evoked by sustained versus transient Ca^<2+> increases and by cAMP"J. Neurosci.. 19. 2432-2441 (1999)
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[Publications] Rheuben,M.: "Ultrastructual Correlat of Neuromuscular Juncyion Development.In Neuromuscular Junctions in Drosophila."edited by Vivian Budnik and L. Sian Gramates, Academic Press. 24 (1999)