1999 Fiscal Year Annual Research Report
岩礁潮間帯生物群集におけるトップダウン/ボトムアップコントロールの実験的検証
Project/Area Number |
11740420
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野田 隆史 北海道大学, 水産学部, 助手 (90240639)
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Keywords | 栄養塩制限 / 植食 / 食物網 / 間接効果 / トップダウンコントロール / ボトムアップコントロール / 岩礁潮間帯 / 群集生態学 |
Research Abstract |
本研究は河口域の海岸と、陸水からの栄養塩供給の無い河口から離れた海岸で、海藻-カサガイ群集を対象に、海藻とカサガイのバイオマスへの消費と資源による支配を、野外で栄養塩量とグレーザー密度を実験的に操作することで解明することを目的とした。検証するおもな仮説群は、1)栄養塩添加は海藻とカサガイのバイオマス増加に影響するか?2)グレーザー除去は海藻のバイオマス増加に影響するか?3)栄養塩添加によって海藻のバイオマス変化に対するカサガイの消費の効果は違うか?4)1-3)の結果は河口域とそれ以外の海岸で違うか?とした。1999年6月に北海道日浦海岸の岩礁潮間帯の河口と、河口から離れた場所に位置するムラサキインコガイベッド上に裸地を作成し、焼成エアーストーン盤を4つ隣接させて設置した。それらのうち2つに栄養塩(硝酸Na+リン酸K)を注入し(栄養塩添加区 : +N)、残りに海水を注入した(栄養塩無添加区 : -N)。それらの各1つは銅塗料により、カサガイ侵入を止め(カサガイ除去区 : -G)、残りは未操作とした(カサガイ未除去区 : +G)。つまり、1箇所に+G+N、+G-N、-G+N、-G-Nの4実験区が一組になるようにし、これを、河口域と海岸域にそれぞれ10組セットした。焼成エアーストーン上の海藻被度、カサガイ個体数、カサガイサイズ、海水栄養塩濃度、エアーストーン内栄養塩濃度、エアーストーン表面温度、海水塩分濃度を毎月一回測定している。実験開始から半年間の結果から、栄養塩制限は海藻群集を通してカサガイのトップダウン効果を抑えていることが明らかになったが、陸水の栄養塩供給の当群集への有為な影響は統計的に検出されてはいない。
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