1999 Fiscal Year Annual Research Report
根の表皮細胞分化に関わるシロイヌナズナCPC遺伝子の機能発現機構の解析
Project/Area Number |
11740443
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
槻木 竜二 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50303805)
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Keywords | シロイヌナズナ / 根毛 / 表皮細胞 / CPC遺伝子 / 細胞自立性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、根毛の形成機構をCPC遺伝子の機能発現機構といる角度から解析して、根の表皮細胞の分化過程を分子レベルで明らかにすることである。 1 シロイヌナズナのエンハンサートラップ系統を利用して、CPC遺伝子を根の特定の表皮細胞のみで発現させる。この系統ではゲノム上の挿入位置に依存して発現するGAL4-VP16がUASプロモーター(UAS)を介してGFP遺伝子を発現させる。UAS-CPC融合遺伝子をこれら系統に導入すれば、GFPの発現が観察される細胞でCPC遺伝子が特異的に発現する植物系統を得ることができる。エンハンサートラップ系統の中には、根の表皮細胞でキメラ状にGFPの発現が観察される系統や根端に近い表皮細胞、あるいは根端から遠い表皮細胞で観察される系統があるので、これらを用いてCPC遺伝子の発現を根の限られた表皮細胞のみで誘導し、その機能の細胞自立性や発現のタイミングの重要性を解析する。 CPC突然変異ホモ接合型でかつGFPの発現が観察できる植物系統とUAS-CPC融合遺伝子を含むシロイヌナズナ形質転換植物系統を各々作製し、これらを交配して、そのF1植物体を得た。得られたF1植物体の中で、CPC遺伝子の表皮細胞での発現のタイミングが変わる系統を解析したところ、CPC遺伝子が若い表皮細胞で発現した場合にのみ、異所的な根毛形成が観察された。この結果はCPC遺伝子が機能するためには、若い表皮細胞で発現することが必要なことを示している。 2 カリフラワーモザイクウィルスの35SプロモーターとCPC::GFP融合遺伝子の間にトウモロコシのトランスポゾンAcが挿入されたコンストラクトを作製し、これを含むシロイヌナズナ形質転換体を得た。この系統では、Acが挿入位置から転移した細胞のみでCPC::GFP融合遺伝子が発現するので、これを利用してキメラ植物体を作製、解析できる。
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