2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11740447
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上妻 由章 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (10284556)
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Keywords | プロテアーゼ / プロテアーゼインヒビター / ヒマワリ / プロ領域 |
Research Abstract |
植物組織中のシステインプロテアーゼ(CP)の活性制御機構の解明のため食用ヒマワリをモデルに次のような研究を行なった。1)ヒマワリ種子由来CP(SCP)の遺伝子発現:各SCPの遺伝子発現について検討した。その結果、SCP1、2、5はいずれも種子の登熟と発芽の際に多く発現し、完熟種子中には、そのmRNAは存在しないことが明らかになった。2)プロ領域の酵素活性への関与:SCPはそのN末端に100残基程度、さらにC末端に10〜100残基程度のプロ領域を有する。SCP成熟領域とともに発現した実験ではN末端プロ領域はSCPの立体構造の巻戻しや活性化において重要な役割を果たしているのに対して、C末端側のプロ領域は、その存在が酵素の活性化を抑制し、その有意な機能を明らかにできなかった。更にこのプロ領域の機能を更に検討するため、この領域のみを大腸菌で発現し、その特徴について調べた。その結果、各SCPのN末端プロ領域は、その活性型SCPの酵素活性を強く阻害することが明らかになった。そしてその強さは、成熟体自身が本来有するプロ領域(SCP1であればSCP1Npro)によってより強く阻害される傾向にあることが明らかになった。一方、C末端プロ領域(ここではSCP1Cpro(21〜112残基目)についてのみ検討)は、N末端プロ領域が示したような阻害活性を有してはいなかった。以上の結果から、SCPはその前駆体合成後、C末端プロ領域の切断を受けた後に正確に巻き戻され、そして高pH環境下ではN末端プロ領域と安定な複合体を形成するのに対し、リソソームのような低pH(4〜5)環境下ではその複合体の安定性が減少し、解離することによってプロテアーゼが活性化する機構が考えられた。また、偶発的に起きるプロテアーゼの活性化に対しては内在性インヒビターのScaやScbが活性を制御しているものと考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kouzuma et al.: "Molecular cloning and functional expression of cDNA encoding the cysteine proteinase inhibitor with three cystatin domains from sunflower seeds"Journal of Biochemistry. 128. 161-166 (2000)
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[Publications] Kouzuma et al.: "Molecular cloning and functional expression of cDNA encoding the cysteine proteinase inhibitor Sca from sunflower seeds"Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry. 65(in press). (2001)