1999 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子相補性試験によるクラミドモナスのチャンネル遺伝子の単離と解析
Project/Area Number |
11740457
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉村 建二郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (10230806)
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Keywords | クラミドモナス / 相補性試験 / リン酸トランスポーター / 藻類 / リン酸代謝 |
Research Abstract |
細胞の浸透圧調節、体積調節には多くのチャンネルやトランスポーターが関与している。本研究ではこれらの膜タンパクをクラミドモナスを用いて遺伝子レベルで明らかにすることを目的とする。そのためにクラミドモナスのcDNAライブラリーを用い、その中から浸透圧調節ができない大腸菌の株をrescueする遺伝子を単離した。 クラミドモナスcDNAのプラスミドライブラリーを用いて大腸菌のカリウム輸送系のノックアウト株を形質転換した。用いる株はTK2463でTrkA,Kdp,Kupの既知のすべてのカリウム輸送系がノックアウトされている株である。この株は40mM以上のカリウム濃度の培地でないと育成できない。形質転換した細胞を低カリウム濃度の培地にまき、増殖可能なコロニーを約70単離した。これらのクローンの遺伝子配列を決定した結果、クラミドモナスでは既報告の遺伝子3クローン、未報告の遺伝子28クローンを得た。未報告の遺伝子をホモロジーで検索したところ10クローンは全く類似の遺伝子がなかったが、11クローンはリボゾームタンパク、2クローンはDNA結合タンパク、さらに、注目すべきことにリン酸トランスポーターと思われる遺伝子が1クローン含まれていた。これは酵母ではPho89と似ていて、ナトリウム依存性高アフィニティタイプのリン酸トランスポーターと推測される。動物などではこのタイプのリン酸トランスポーターの研究は進んでいるが、原生生物や植物では存在するまだ疑問視されている。従って、この新しく単離したリン酸トランスポーターがクラミドモナスでどのような生理的意味を持つかはとても興味深い。今後はこの遺伝子産物の発現、トランスポーターとしての活性などを調べる予定である。
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[Publications] K.Yoshimura,A.Batiza,M.Schroeder,P.Blount, and C.Kung.: "Hydrophilicity of a single residue within MscL correlates with increased channel michanosensitivity"Biophys.J.. 77. 1960-1972 (1999)