1999 Fiscal Year Annual Research Report
系統解析に基づくシロアリ類共生原生動物群集の進化過程の解明
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11740465
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
北出 理 茨城大学, 理学部, 助手 (80302321)
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Keywords | シロアリ / 共生原生動物 / 分子系統 |
Research Abstract |
本年度の研究から以下のような結果が得られた。 (1)共生原生動物の組成調査と形態・分類学的検討 琉球列島の徳之島においてオオシロアリ(オオシロアリ科)とカタンシロアリ(レイビシロアリ科)の採集調査を行った。共生原生動物組成の調査と染色標本作製の結果、オオシロアリからは9属19種の鞭毛虫が見いだされ、うち18種は新種と考えられる。カタンシロアリからはDevescovina属、Foaina属、Macrotrichomonas属などのレイビシロアリ科に特徴的な鞭毛虫が見いだされた。分類学的検討と記載の準備を現在継続中である。 (2)宿主の分子系統解析と原生動物群集組成の進化過程の解析 オオシロアリ科の諸属についてミトコンドリアのCOll遺伝子、ミゾガシラシロアリ科の諸属についてCOllおよび16SrRNA遺伝子の塩基配列を決定し、宿主であるシロアリの属間の系統推定を試みた。オオシロアリ科全体については現時点で信頼度の高い結果は得られていないが、南半球に分布する諸属の間については比較的高い確度で推定を行うことができた。ミゾガシラシロアリ科の系統推定の結果、特異的な原生動物組成をもつヤマトシロアリ属は、本科の根元からの分岐とはならなかった。また、共生原生動物の属の有無の系統樹上へのマッピング(最適化)を行った結果、多くの原生生物が複数の宿主系統上で独立に生じていることを示唆する結果が得られた。以上の結果から原生動物の宿主転換が組成に影響を与えている可能性が考えられる。 (3)共生原生動物のキャラクタリゼーション Pseudotrichnympha属の原生動物のSSUrRNA遺伝子の増幅を目的としたPCRプライマーセットの設計を行った。このプライマーを用いたPCRと、塩基配列決定のための条件設定を継続中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 吉村 剛 (編): "住まいとシロアリ"海青者 (印刷中).
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[Publications] Bignel,D.E.: "Termites : Evolution,Society,Symbioses,Ecology"Kluwer Academic Press (印刷中).