2000 Fiscal Year Annual Research Report
琉球列島におけるジネズミ類の種分化と系統進化に関する研究
Project/Area Number |
11740472
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本川 雅治 京都大学, 総合博物館, 助手 (30293939)
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Keywords | ワタセジネズミ / オリイジネズミ / 系統分類学 / 哺乳類 / 琉球列島 / 動物地理学 / 種分化 / 系統関係 |
Research Abstract |
ワタセジネズミおよびオリイジネズミの系統進化について知るために奄美諸島,沖縄諸島での標本収集,現地調査を行った.標本は形態学的,遺伝学的解析が行える状態にして研究室に持ち帰った.ワタセジネズミの島嶼間分化を調べるためにアロザイム分析,形態計測値の統計学的解析を行ったところ,島嶼間分化が個体変異に比べてあまり大きくないことが示唆された.これはワタセジネズミが種としては長期に隔離されていたものの,海面低下による陸地化により島嶼間の交流は更新世後期まで続いていたことによると考えられる.オリイジネズミは本年度に新たに加計呂間島で確認されたので,同島での調査を行った.標本を得ることは出来なかったが,初記録の標本が採集された地点の植生はワタセジネズミ生息環境と明らかな違いが見られず,周囲の地形や微環境が両種の生息環境をわけているか,両種が同所的に生息していることが示唆された.ワタセジネズミとオリイジネズミの系統的位置づけを明らかにするために,国立科学博物館でジネズミ類の標本調査を行った.両種は他のジネズミ類に比べて特殊化した形態をもち,それらからかなり分化した群であることが示唆された.また,本年度はワタセジネズミに特異的な核型の特徴が,中国産ジャコウジネズミにも見られることを発見した.両者の近縁性を検証するためにいくつかの解析を行った.分染核型による相同染色体の解析によると,両者の核型上の相似は別の染色体対によってもたらされており,したがって平行的に進化したものであることが分かった.昨年度に行った解析と同様の方法でチトクロームb遺伝子の解析も行ったが,両者は別のクラスターに位置づけられ,近縁群ではないことが明らかになった.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masaharu Motokawa 他: "Phylogenetic relationships among East Asian species of Crocidura (Mammalia, Insectivora) inferred from mitochondrial cytochrome b gene sequences"Zoological Science. 17・4. 497-504 (2000)
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[Publications] Masaharu Motokawa: "Biogeography of living mammals in the Ryukyu Islands"Tropics. 10・1. 63-71 (2000)