1999 Fiscal Year Annual Research Report
AFLP解析によるトモエシオガマとミカワシオガマの起原に関する研究
Project/Area Number |
11740474
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
藤井 紀行 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (40305412)
|
Keywords | シオガマギク / Pedicularis / 葉緑体DNA / 核DNA / 非コード領域 / 系統地理 |
Research Abstract |
シオガマギク(Pedicularis respinata L.)はゴマノハグサ科シオガマギク属の一種で、日本列島、朝鮮半島、中国東北部、シベリアにかけて広く分布している。シオガマギクは外部形態的な変異が大きく、多くの種内分類群が記載されており、Yamazaki(1993)によれば、種内に3亜種4変種が認められている(シベリアシオガマ、狭義のシオガマギク、ミカワシオガマ、ビロードシオガマ、トモエシオガマ)。ここではこれらをシオガマギク群と呼ぶ。シベリアシオガマを除くすべての分類群は日本列島に見られ、列島内での種分化が示唆される興味深い分類群である。そこで本研究ではこれらの種群を対象にして、各種群がどのような過程を経て分化してきたのかを検証するために、シオガマギク群の集団間レベルの遺伝的変異を検出し、分子系統地理的解析を行った。本年度はシオガマギク群24集団から1個体ずつ、葉緑体DNA(trnL,(UAA)5'cxon〜trnF(GAA)の非コード領域)と核DNAのITS領域の塩基配列を決定した。その結果、葉緑体DNAでは7種類、核DNAでは10種類のタイプが検出された。それらのタイプは、地理的にまとまるものもあったが、隔離分布しているタイプの方が多かった。また葉緑体DNAと核DNAの結果は食い違う所が多く、これらの種群が複雑な歴史を持っていることが推察された。さらにタイプ間の系統解析を行ったところ、葉緑体DNAでは大きな2つの系統の存在が示唆された。核DNAでも同様にタイプ間の系統解析を行ったが、その2つ系統は支持されず、異なる5つのまとまりを形成した。5つの系統間の関係は不明瞭であった。来年度、AFLP法を用いた解析を行う予定である。
|