2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11750011
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西堀 英治 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10293672)
|
Keywords | 金属内包フラーレン / Sc@C_<82> / La@C_<82> / マキシマムエントロピー / フラーレン / 粉末解析 / 放射光 / 構造解析 |
Research Abstract |
金属内包フラーレンSc_3@C_<82>の構造を、放射光粉末回折法により得たデータを構造解析の手法としては非常に新しいMEM/Rietveld法により解析した。その結果、世界で初めて3個原子を内包した金属内包フラーレンの構造を解明するのに成功した。得られた結果は、理論家も予想できなかった非常に驚くべきものであった。理論家は、フラーレン・ケージ内に3個のSc原子は別々のケージ近くの安定点に存在するとの予測であったが、実際に解析された結果では、フラーレン・ケージ内の3個のSc原子は非常に強い結合をした、ほぼ正3角形上のクラスターを形成していることが分かった。フラーレン・ケージ内にクラスターが見出されたのは、世界で初めてである。3個のSc原子はクラスターを形成することにより、あたかも一個の原子のように振舞うことが出来る。そのために、Sc_3@C_<82>は1個入りの金属内包フラーレンと同様の生成機構により、合成されているものと思われる。今回の研究結果は、今後の多原子を内包した金属内包フラーレンの合成に関して、非常に大きな指針を与えて行くことになるものと思う。 金属内包フラーレンSc_3@C_<82>の構造解明に成功したので、さらに研究を発展させるために、新たな研究の方向性を見出すために、幾つかの試みを行っている。第1は、IPR(Isolated Pentagon Rule:孤立五員環則)が、どの程度普遍的な規則であるかを確かめる研究である。そのためには、IPRを破る可能性のある金属内包フラーレンを合成し、構造を解く事である。第2の方向性は金属を内包するのではなく、例えば、分子を内包するフラーレンを新機能材料として開発する事である。現在、この2つの方向性に沿った試験的研究を精力的に行っている。将来、新しい研究テーマとして発展させたい。
|
-
[Publications] Y.Moritomo,A.Machida,E.Nishibori,Sh.Xu,M.Takata and M.Sakata others: "Electron structure of double-perovskite transition-metal oxides"Phys.Rev.B. 61・12. 7827-7830 (2000)
-
[Publications] A.Machida,E.Nishibori,M.Tadata,M.sakata,S.Mori,and A.Nakamura others: "Phase separation and insulator-metal dehavior of doped manganites"Phys.Rev.B. 62・6. 3883-3887 (2000)
-
[Publications] A.Machida,Y.Moritomo,E.Nishibori,M.Tadata,M.Sakata,and A.Nakamura: "Microdomain Structure of Cr-Doped Manganites : Nd1/2Ca1/2(Mn,Cr)O3"J.Phys.Soc.Jpn.. 69・11. 3536-3539 (2000)
-
[Publications] E.Nishibori,M.Takata,M.Sakata,H.Takata,M.Hasegawa and H.Shinohara: "Giant Motion of La Atom Inside C82 Cage"Chem.Phys.Lett.. 3・30. 497-502 (2000)
-
[Publications] C.R.Wang,T.Tomiyama,E.Nishibori,M.Takata,M.Sakata and H.Shinohara others: "C_<66> Fullerene Encaging a Scandium Dimer"Nature. 408・6811. 426-427 (2000)
-
[Publications] K.Kirihara,T.Nakata,M.Takata,E.Nishibori,K.Kimura and M.Sakata: "Covalent Bonds in AlMnSi Icosahedral Quasicrystalline Approximant"Phys.Rev.Lett.. 85・16. 3468-3471 (2000)