2000 Fiscal Year Annual Research Report
硫黄圧制御分子線エピタキシー法による硫化亜鉛系多層構造と紫外半導体レーザの作製
Project/Area Number |
11750018
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
市野 邦男 鳥取大学, 工学部, 助手 (90263483)
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Keywords | 紫外半導体レーザ / ZnS / GaP / MBE / ZnMgS / ZnCdS |
Research Abstract |
本研究では、紫外半導体レーザへの応用を最終的な目的として、高品質な硫化亜鉛(ZnS)系多層構造を作製するための基礎技術、とくにこれまで検討が十分でなかったZnS系エピタキシャル成長層/燐化ガリウム(GaP)界面構造の最適化のための基礎研究をおこなった。 結晶成長に用いる分子線エピタキシー装置において、これまでは成長前の基板の酸化膜除去等の処理を結晶成長チャンバーでおこなってきたが、本年度は基板の表面処理専用の真空チャンバーを導入し、原料、特に硫黄の残留雰囲気のない高真空中での処理を可能にした。 その結果、まず反射高エネルギー電子線回折(RHEED)による観察から、630℃前後で酸化膜が除去されることがわかった。従来の成長チャンバーにおける熱処理では硫黄と基板表面のGaの反応により安定な硫化物層(Ga_2S_3)が形成され、RHEEDパターンの明確な変化を観測することが難しかった。また、このGa_2S_3層は欠陥生成の核となっていると考えられるのでこれが生成しないような処理手順を確立する必要があった。そのため、硫黄がない条件下で酸化膜除去をおこない、Ga液滴が生成しないようにP分子線照射をおこない、さらにZn分子線を供給してP-Zn結合の形成を促進することを試みた。 このような熱処理を施したGaP基板を真空中で成長チャンバーに移動し、まず基本材料であるZnSの成長のおこなった。その結果、従来の成長室における熱処理の場合と比較して、結晶性の向上を得た。現在のところ、初期的結果が得られた段階ではあるが、P分子線、Zn分子線それぞれの照射により、その後に成長したZnSの結晶性が向上する効果が得られた。現在のところZnSの膜厚約1μmでX線ロッキングカーブの半値幅が約500秒である。これは、格子不整合の影響があるため、決して十分な値ではないが、今後、格子整合系混晶の作製、p型伝導制御のための基礎となる成果であると考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Ichino: "High-temperature growth of ZnS and ZnMgS by molecular beam epitaxy under high sulfur beam pressure"Journal of Applied Physics. 87・9. 4249-4253 (2000)
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[Publications] K.Ichino: "Molecular beam epitaxy and optical properties of ZnCdS/ZnMgS quantum wells on GaP"Journal of Crystal Growth. 214/215・. 135-139 (2000)
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[Publications] K.Ichino: "Optical properties of ZnS/ZnMgS strained-layer quantum wells"Journal of Crystal Growth. 214/215・. 372 (368)
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[Publications] K.Ichino: "Mechanism of blue-shift Mn^<2+> luminescence in ZnMgS : Mn for electroluminescent thin films"Japanese Jorunal of Applied Physics. 40・3A(発表予定). (2001)