1999 Fiscal Year Annual Research Report
レーザラマン分光法による強誘電体薄膜成長その場観察と配向性制御に関する基礎研究
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11750021
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
西田 謙 高知工科大学, 工学部・電子・光システム工学科, 助手 (40299384)
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Keywords | 強誘電体 / レーザラマン分光法 / その場観察 / ペロブスカイト構造 / プラズマCVD / 酸化チタン / チタン酸鉛 / チタン酸ジルコン酸鉛 |
Research Abstract |
本研究は、次世代のメモリーとして注目されているFeRAM(強誘電体不揮発性メモリー)の材料として注目されている強誘電体の配向性制御成長を目的に行っている。レーザラマン分光装置を"その場観察"装置として用いるプラズマCVD(化学気相成長)装置を世界に先駆けて作製してきた。そこで本年度は、作製した成長装置を用いて強誘電体材料PbZr_xTi_<1-x>O_3(チタン酸ジルコン酸鉛)の構成元素であるTiO_2薄膜の"その場観察"成長を行なった。 成長初期の非常に薄い膜厚(約27Å)からラマン信号が観察された。"その場観察"ラマン信号から薄膜が成長初期のアモルファス状態から徐々に結晶化が進んでゆく様子が明らかになり、得られた酸化チタンの結晶系はアナターゼ型をしていることがわかった。さらに、シリコン基板上への酸化チタンの成長では、その成長初期に原料であるチタンと基板であるシリコンが反応してチタンシリサイドが形成され、その上に堆積される酸化チタンとの接着材のような働きをすることがわかった。また薄膜は、圧縮応力を成長初期から受けていることがわかった。膜厚の増加とともに応力が薄膜中に堆積し、格子緩和により応力が緩和している様子が明らかになった。また、それに伴い成長モードが擬二次元成長から三次元成長へと変化していることがわかった。そこで、薄膜の配向性制御成長を行なうことを目的に成長条件を変化させ、薄膜に掛かる応力を変えた。最適成長条件においては、(101)面に強く配向した酸化チタン薄膜を得ることができ、ラマン"その場観察"信号をフィードバックさせた制御成長に成功した。次年度は、本年度の成果を元に強誘電体薄膜の"その場観察"制御成長を行ない、高品質な強誘電体薄膜の成長を目指す。
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