1999 Fiscal Year Annual Research Report
高圧環境下のスパッタリング製膜過程に対するシミュレーションモデルの開発
Project/Area Number |
11750030
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
中野 武雄 成蹊大学, 工学部, 助手 (40237342)
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Keywords | スパッタリング / モンテカルロ・シミュレーション / 膜厚分布 / 気体分子運動論 / 境界要素法 / プラズマ発光分光法 |
Research Abstract |
スパッタリング製膜法における粒子の輸送過程を、モンテカルロ法によってシミュレートする計算プログラムを開発した。ターゲットからスパッタされた粒子は、ガス分子との衝突によって減速する。高圧力下では衝突が数多く起こり、スパッタ粒子に対するガス分子の運動が無視できなくなる。我々が開発したプログラムでは、スパッタ粒子と衝突するガス分子の速度分布を気体分子運動論から導き、シミュレートしている。これにより、高圧力下でもスパッタ粒子の挙動を妥当に再現できるようになった。 ただし従来のプログラムには、圧力が高くなると実行時間が指数関数的に増加するという欠点がある。そこで、減速後の粒子輸送を連続体(流体)近似によって取り扱う手法を今回新たに開発した。これはターゲットから放出されたスパッタ粒子が減速する過程を従来のモデルで取り扱い、各粒子が充分に減速された点を拡散方程式における湧き出しと対応づけて、壁面への粒子フラックスを計算するものである。拡散方程式の解法には境界要素法を用い、円筒対称の系に適用できるプログラムを開発した。これにより、高圧下でのスパッタ粒子の輸送現象を時間的に効率良く取り扱うことが可能になった。 開発したプログラムと実験とを比較して、スパッタ粒子の初速度など、未定のパラメータ値を決定するため、空間対称性の良い円筒形のスパッタリングチャンバーを新たに設計・製作した。また並行して既存のチャンバーでCu/Arの系に対してプラズマ発光分光測定を行ったところ、基底準位を含む遷移からの発光を利用すると、Cu粒子の空間密度が定量的に評価できることがわかった。これを受けて、紫外光領域まで透過する大面積の石英窓を取りつけ、円筒対称のプラズマ内部からの発光分布が評価できるような設計にした。また、シミュレーションコードを粒子密度の評価が行えるように拡張し、実際に粒子密度の圧力依存性を計算できた。
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[Publications] T,Nakano,N.Ohnuki and S.Baba: "Pressure dependence of optical emission from DC magnetron sputtering plasma with spatial resolution"Vacuum,(accepted for publication). (2000)