2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11750052
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂本 直人 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10282592)
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Keywords | 複屈折 / 棒状分子 / 配向 / CWレーザ / シアノビフェニル系液晶 / 等方相 |
Research Abstract |
棒状の粒子からなる流体において、構成要素たる粒子の向きのそろい加減を光で制御することにより流体の性質を制御することを目指している。AM変調あるいは偏光変調をかけたCWレーザ光(ポンプ光)を試料に入射することによって試料中に局所的な異方性を励起しその様子をプローブ用レーザ光により複屈折Δnとして検出する装置を組み立てた。 この装置の性能を評価・検証するために、まずはじめに、比較的弱い励起光でも異方性が生じ易いとされているシアノビフェニル系液晶等方相を試料として用い、ポンプ光の変調周波数を十分小さく設定した状態で実験を行った。その結果、測定の感度は良好であることが分かり、液晶性分子が相転移直前にみせるといわれている独特な臨界挙動を観察することができた。ポンプ光パワーあたりの異方性励起度がより小さい試料、たとえば二硫化炭素やニトロベンゼンについても順次測定を行った。また、上記の装置の複屈折検出機構と同様な原理を利用して、液晶が空気との界面近傍で自発的につくりだす分子配向秩序を観察した。 ここまでの実験ではDC信号に対する応答を調べたのであるが、続いて、ポンプ光の変調周波数を掃引しながら応答を観察した。変調周波数が高くなるにつれ、Δnの振幅部分が小さくなり位相部分が遅れていく様子を観察することができた。これは、粒子がそろったりばらばらになったりする過程が、ポンプ光の変調に対してしだいに追随できなくなっていくことを意味する。特に上述のシアノビフェニル系液晶等方相の場合、温度を低下させていくにつれて、粒子がそろったりばらばらになったりするのに要する時間が長くなることを見出した。これも、液晶性の発現に先行して生じるとされる上述の臨界現象のひとつであると考えられる。
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[Publications] Y.Oki,N.Sakamoto,K.Sakai,and K.Takagi: "Frequency Domain Measurement for Relaxation Study on Optical Kerr Effect"Japanese Journal of Applied Physics Part2. Vol.39,No.6B. L607-L610 (2000)