1999 Fiscal Year Annual Research Report
ピコ秒ガラスレーザーによる進行波励起を用いた過渡的利得発生法軟X線レーザー
Project/Area Number |
11750064
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
永田 豊 理化学研究所, レーザー物理工学研究室, 研究員 (50311353)
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Keywords | 軟X線レーザー / 高強度光電離 / Ni様Krイオン / 高利得 / 32nm / ピコ秒ガラスレーザー / ガスジェット / 電子衝突励起 |
Research Abstract |
小型の励起レーザーを用いた新しい軟X線レーザーの開発を目的として、数値計算および実験を行った。 数値計算ではパルス幅1psのガラスレーザーパルスを集光強度2x10^<16>W/cm^2で原子数密度7x10^<18>cm^<-3>のKrガス中に照射したとき高強度光電離によって効率良くNi様Krイオンが生成され、さらに逆制動放射によって効率良くプラズマが加熱され電子衝突励起により高利得が得られることを示した。詳細な原子コードを用いたレート計算によりNi様Krイオンの4d-4p遷移(32nm)において小信号利得係数1200cm^<-1>が得られることを示し、さらに励起レーザーをスポットサイズ50μmでKrガス中を3mm伝搬させることによってエネルギー変換効率として10^<-5>以上が得られることを予測した。 実験ではガラスレーザーパルス1J,2ps以下を、Krガスジェット中に集光し、生成されたプラズマからのスペクトルを観測した。真空中での集光強度は4x10^<16>W/cm^2であった。観測されたスペクトルをもとにレーザー強度、集光位置、Krガスの密度などのパラメータの最適化をおこなった。その結果、レーザーの集光強度を2×10^<16>W/cm^2として、焦点位置をガスジェットの中心から2mm手前にしたときにNi様Krイオンからのスペクトルが強くなることが分った。また、ガスジェットの背圧を10Kg/cm^2以上としたときにプラズマの温度が高<なり高利得に必要となる温度まで電子が加熱され、Ni様Krイオンの4d-4p遷移の強度も強くなることを示した。但し、背圧が25kg/cm^2以上の時はガスジェット中でのレーザー光のセルフディフォーカシングによってレーザーの実効的な集光強度が低下し、スペクトル強度が低下するため増幅を実現するためには高密度のガスジェット中での励起レーザーパルスの伝搬を改善する必要があることがわかった。
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