1999 Fiscal Year Annual Research Report
鉛フリーはんだによる環境調和型電子パッケージの最適構造設計に関する研究
Project/Area Number |
11750069
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
大口 健一 秋田大学, 工学資源学部, 助手 (30292361)
|
Keywords | 鉛フリーはんだ / 電子パッケージ / Sn-3.5Ag-0.75Cuはんだ / 応力緩和 / クリープ / 粘塑性変形 / 構成モデル |
Research Abstract |
本年度は,以下の項目を実施した. Pb/Snはんだと鉛フリーはんだの応力緩和特性の比較:鉛フリーはんだとして有望視されているSn/Agはんだは,Pb/Snはんだに比べ,耐クリープ特性が高いとされている.クリープと応力緩和が等価な現象であることから,、電子デバイス実装工程で,電子パッケージはんだ接続部に発生する残留応力は,Sn/Agはんだの方がPb/Snはんだより大きいと予測できる.そこで,60Sn-40Pb材とSn-3.5Ag-0.75Cu材を用いた応力緩和試験を行い,各材料の応力緩和特性を比較した. Sn-3.5Ag-0.75Cu材の力学的特性の調査:3種類の雰囲気温度,3種類のひずみ速度での純粋引張り負荷実験,および3種類の雰囲気温度下でのクリープ実験を行い,これら負荷によるSn-3.5Ag-0.75Cu材の変形挙動を詳細に調査した. 鉛フリーはんだの構成モデルの検討:報告者らが構築した粘塑性構成モデルの鉛フリーはんだに対する適用の可能性を検討するために,この構成モデルを用いて,Sn-3.5Ag-0.75Cu材の定常クリープのシミュレーションを試みた. 上記項目を実施した結果,以下の結論を得た. (1)60Sn-40Pb材の応力緩和曲線は,時間経過に伴い応力がほぼ0に収束するのに対し,Sn-3.5Ag-0.75Cu材では時間が経過しても応力は0とならない.例えば,雰囲気温度303Kでは,応力緩和開始後2000sec経過しても約30Mpaの応力が残留する. (2)Sn-3.5Ag-0.75Cu材の力学的特性として,ひずみ速度依存性,雰囲気温度依存性を示す変形挙動が挙げられる. (3)報告者らが構築した粘塑性構成モデルを用いれば,Sn-3.5Ag-0.75Cuはんだ材の定常クリープをシミュレーションできる.したがって,この粘塑性構成モデルは,鉛フリーはんだに対しても適用できる可能性がある.
|