2000 Fiscal Year Annual Research Report
積層複合材料の層間高靭化効果の最適化に関する弾塑性メゾメカニックス的研究
Project/Area Number |
11750075
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 拓 名古屋大学, 難処理人工物研究センター, 講師 (80236629)
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Keywords | 複合材料 / 繊維強化プラスチックス / 層間はく離 / き裂伝ぱ / メゾメカニックス / 層間高靭化 / 層間樹脂層厚さ / 弾塑性解析 |
Research Abstract |
本研究では,層間高靭化型の繊維強化プラスチックス積層板について,層間樹脂層厚さを変化させることによる層間はく離き裂伝ぱ特性の向上を目的として,数値シミュレーションを援用した最適層間厚さの探索システムについて検討した.はじめに,一方向炭素繊維強化高靭性エポキシ積層板を試験材料として,モードI(開口型),モードII(せん断型),および混合モードI+II負荷の下で層間はく離疲労き裂の伝ぱ試験を行い,き裂伝ぱ下限界エネルギ解放率に及ぼす層間樹脂層厚さの影響を実験的に明らかにした.層間の樹脂層が厚く,かつモードII負荷の割合が大きい場合に,き裂伝ぱにつれてき裂伝ぱ抵抗が著しく増大することを明らかにし,その原因として従来より提唱されているき裂先端塑性域の発達だけでなく,き裂上下面のインターロッキングによるき裂面周辺樹脂の著しい塑性変形が影響していることを明らかにした.ついで,繊維,マトリックスおよび層間マトリックス層を区別したメゾメカニックス複合材料モデルを提案し,有限要素法あるいは境界要素法による数値解析を可能とした.このメゾメカニックス複合材料モデルを用いた弾塑性有限要素法によって,モードI,モードIIおよび混合モード負荷の下でのき裂先端塑性域の形状・寸法の解析を行い,層間樹脂層厚さの影響を検討するとともに,弾性応力分布を基にした塑性域寸法の簡便予測法を提案した.この簡便予測法を用いることによって,き裂先端での塑性変形によるエネルギ散逸を精度良く予測することが可能となった.さらに,き裂面インターロッキングによる樹脂塑性変形の予測モデルを提案し,実験結果との比較による検証を進めつつある.
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[Publications] 來海博央: "長繊維強化複合材料の層間マトリックスき裂先端の塑性域の簡便評価"材料. 49巻7号. 793-798 (2000)
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[Publications] 來海博央: "モードII荷重を受ける長繊維強化複合材料の層間マトリックスき裂先端での塑性領域"日本機械学会論文集(A編). 66巻646号. 1134-1142 (2000)
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[Publications] 來海博央: "モードIき裂を有する長繊維強化複合材料における塑性領域の弾塑性有限要素法解析"日本機械学会論文集(A編). 66巻641号. 54-62 (2000)
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[Publications] 田中拓: "炭素繊維強化エポキシ積層板の混合モードI+II繰返し荷重による層間疲労き裂進展挙動"日本機械学会論文集(A編). 65巻636号. 1676-1683 (1999)
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[Publications] H.Kimachi: "Boundary Element Analysis of Elastic Stress Distribution near Delamination Crack in Fiber-Reinforced Composites"JSME International Journal,Series A. Vol.42,No.4. 537-545 (1999)
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[Publications] 來海博央: "長繊維FRPのマトリックスき裂の解析における不均質モデルと三層構造モデルの比較"第24回複合材料シンポジウム講演要旨集. Vol.42,No.4. 81-82 (1999)