1999 Fiscal Year Annual Research Report
転位の発生・運動に関する分子動力学シミュレーションならびに格子不安定性解析
Project/Area Number |
11750077
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
屋代 如月 神戸大学, 工学部, 助手 (50311775)
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Keywords | 転位発生 / 分子動力学法 / 格子不安定性 / γ / γ'界面 / 格子ミスフィット / 弾性剛性係数 / 前駆ひずみ集中 / 線膨張係数 |
Research Abstract |
先進微小材料の信頼性評価の基礎として重要となる,原子レベルの欠陥生成・成長・運動のメカニズムを明らかにする研究の第一歩として,転位の発生・運動に関する種々の分子動力学シミュレーションを行うとともに,局所格子の崩壊に対する不安定性(局所格子不安定性)の観点から検討を加えた.まず,Ni単結晶のナノ試験片引張シミュレーションを行い,(100)表面からの転位発生過程を詳細に観察した.その結果,結晶のずれとして転位が視覚的に認められる前に,局所のひずみが急激に増加する前駆現象が生じており,これがトリガーとなって転位発生がもたらされていることを明らかにした.また,局所格子の弾性剛性係数の正値性で評価した局所格子不安定性により前駆ひずみ集中の開始が評価できることを示した.次に,γ相(Ni)マトリックス中にγ'相(Ni3Al)を含有させた系のシミュレーションを行い,コヒーレントに接合させたNi/Ni3Al界面からの転位発生について検討した.[001]方向の引張シミュレーションでは,引張軸に平行なγ/γ'界面からγ相内に転位が発生・伝ぱするのが観察された.また,温度293Kでは変形が進行しても転位はγ/γ'界面を突き抜けてγ'相内に伝ぱしないことが示された.一方,温度上昇させたシミュレーションでは転位発生が認められず,コヒーレントに接合したNi/Ni3Al界面が線膨張係数の差による格子ミスフィット転位発生に対し安定であることが示された.
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