1999 Fiscal Year Annual Research Report
生体外疲労試験による骨の疲労特性評価および骨の疲労特性と圧電特性の関連性の解明
Project/Area Number |
11750087
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
山本 衛 近畿大学, 生物理工学部, 助手 (00309270)
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Keywords | 骨 / 疲労特性 / 圧電特性 |
Research Abstract |
骨の疲労特性を調べる研究は,実験の大変さゆえにあまり行われておらず,き裂の発生や伝播などを含めて骨疲労の機構はまだ十分に解明されていない.そこて本研究では骨の疲労発生メカニズムの解明することを最終目的として,骨の圧縮疲労試験を行う実験装置を設計し,これを用いて家兎大腿骨骨幹部の圧縮疲労特性を調べた.圧縮疲労試験では曲がりや坐屈を防止し,試料の長軸方向に負荷を作用させることが重要となるため,球座付き治具を設計,作製した.球座にスラスト型球面滑り軸受を用いることによって,試料の骨軸方向に一軸の圧縮荷重を作用させることが可能となっている.また,試料を37℃生理食塩水中に浸積させた状態で試験が行えるように恒温槽を作製した.アクリル製の2重水槽の外槽に恒温循環槽で加温した水を循環させることで,内槽に満たした生理食塩水を37℃に保った.ダイヤモンドコンパウンド等を用いて表面処理した試料に作用させる繰り返し負荷は,アクチュエータを荷重制御で動かすことによって与え,作用する応力が常に一定になる条件で試験を行った.骨の疲労破損は徐々に進行し明確な破断を見極めるのが困難であるため,平均ひずみが試験開始時から5%増加した時点を破損と定義し,その時点て疲労試験を終了した.試料の圧縮強度の1/2および1/4の応力を作用させた場合の破損回数の平均値は,それぞれ143回,1826回であった.これらの最大ピーク応力と破損回数の関係を示す2点を結ぶ直線と縦軸との交点は約90MPaであり,圧縮試験から得られた圧縮強度とほぼ一致した.これより,本実験の疲労試験装置および疲労特性評価法から,骨の圧縮疲労特性を正確に調べることができるものと考えられる.今後は,購入した炭酸ガス恒温器などを併用して,様々な応力条件下や化学的環境下での疲労特性評価を行うと伴に,疲労試験中の骨の圧電性の変化を調べる予定である.
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