1999 Fiscal Year Annual Research Report
セラミックスの吸着水潤滑による超低摩擦トライボシステムの開発
Project/Area Number |
11750111
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
足立 幸志 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10222621)
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Keywords | セラミックス / すべり摩擦 / 超低摩擦 / トライボケミカル反応 / 吸着水 / 微量水 / 窒化ケイ素 |
Research Abstract |
本研究では大気中での微量な水分を潤滑剤とする超低摩擦トライボシステムの確立及び実用化を試みることを目的としている。 本年度は、微少量の水による低摩擦の可能性及び微少量の水により低摩擦が得られるための必要条件を明らかにすることを目的に1滴の水及び加湿器による吸着水を潤滑剤とする窒化ケイ素同士のすべり摩擦実験を行い次の結果を得た。 1.初期表面あらさが0.02ミクロンの窒化ケイ素ピンと0.03ミクロンの窒化ケイ素ディスクのすべり摩擦(接触面圧1.653MPa,すべり速度0.2m/s)において,注射針1滴の水(0.008ml)により,水中における摩擦係数(0.05以下)と同等の低摩擦が得られることを実証した。 2.1.653MPA初期面圧下において,摩擦係数0.8程度の無潤滑すべり摩擦を1時間経験した後においても,0.008mlの微少量の水で,0.05以下の低摩擦が,10^3回転得られることを実証した。 これは,大気中の微量な水分を潤滑剤とする超低摩擦トライボシステムの設計にとって,重要な知見である。 3.すべり速度0.194m/s,1.2GPaの高い初期面圧下における窒化ケイ素同士のすべり摩擦において,0.008mlの微少量の水で,0.05以下の低摩擦係数が,600回転(50m)以上の間得られた。 4.0.008mlの微量水で得られた低摩擦の寿命に達したとき再度0.008mlの微量水を供給することにより,再び,0.05以下の低摩擦が得られることを実証した。これは,大気中の微量な水分を接触面にその場供することにより,半永久的な超低摩擦トライボシステムが可能になることを示す重要な結果である。
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