1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11750113
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 健司 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (50251351)
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Keywords | マイクロマシン / トライボロジー / 摩擦力 / 凝着力 / 表面間力 / メニスカス / 昆虫 / 付着 |
Research Abstract |
(1)マイクロマシンの摺動部で発生する微小荷重条件での摩擦現象を解明するため、平面と球面の間に働くμNオーダの摩擦力・凝着力の測定装置を開発した。平面試料には、マイクロマシンの材料として多用される単結晶シリコンウェーハを用い、球面試料には先端半径が10μmのダイヤモンドピンを用いた。開発した装置を用いて、荷重、湿度、ウェーハ表面の潤滑剤の有無などの条件を変えながら摩擦力・凝着力の測定を行い、以下の知見が得られた。 ・湿度の上昇により、凝着力と摩擦力が増加する。その理由は、高湿度において、平面と球面の間に水のメニスカス(液体橋)が形成され、荷重方向の凝着力、および摩擦方向のせん断抵抗がともに増加するためであると考えられる。 ・シリコンウェーハ表面に圧電素子により振動を加えながら、摩擦力の測定を行った結果、周波数、振幅の増加により、摩擦力が減少することが確認された。このことから、摩擦面の振動を利用して、摩擦力が制御できることが明らかになった。 (3)自然界の微小生物が、表面間力をどのように利用しているかを調べるため、蟻を用いて、壁面への脚の付着と引き離しのメカニズムの解析、および付着力の測定を行った。その結果、付着力は体重の40倍程度であり、引き離す時には脚のしなりやてこを利用していることが確認された。また付着には、脚先端から分泌される油脂が関与していると考えられ、マイクロマシンにおいても、接触面に少量の液体を導入することにより、付着力が制御できる可能性があることが示唆された。
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