1999 Fiscal Year Annual Research Report
静/動荷重下における湿式ペーパ摩擦材表面の真実接触挙動
Project/Area Number |
11750123
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
服部 泰久 東海大学, 工学部, 講師 (60287034)
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Keywords | ペーパ摩擦材 / 真実接触 / 多孔質弾性 / 粘弾性 / 湿式クラッチ |
Research Abstract |
潤滑油中のペーパ摩擦材試料に静的/動的に圧縮荷重をかけたときの真実接触面積と試料の厚さ変化を同期にて連続測定できる実験装置を製作した.真実接触面積は,接触面顕微鏡の原理によって得られた真実接触点の可視化画像から画像処理によって求めている.厚さ変化は,レーザ変位計によって試料を接着した台座の位置変化としてとらえている. この実験装置で,標準的材質で厚さ0.5mm,接触面形状が一辺5mmの正方形のペーパ摩擦材試料を用いて,実用時と同程度の1.0MPaの面圧をステップ状にかけたときの真実接触挙動の変化と試料の厚さ変化を調べた.潤滑油がない場合の実験では,負荷直後から時間とともに真実接触点数が徐々に増加し,これにともなって真実接触面積も10%程度増加するというクリープ的な挙動が確認され,初期接触点の高い接触圧力が接触点数の増加により緩和されていくことが分かった.また,これらの挙動が厚さの時間変化と対応していることから,ペーパ材繊維の構造の変形が接触点の増加を引き起こしていることが推測された. 潤滑油に浸した場合については,真実接触点の観察に先立って,接触面からの潤滑油の流出の程度を次の方法により調べた.すなわち,上述の寸法のペーパ摩擦材試料と,その接触面または周囲側面に接着剤を薄く塗布することによりそれぞれの面の透過性をなくした2つの試料を用いて,ステップ状負荷による厚さの時間変化を測定し,試料間で比較を行った.その結果,厚さ変化の進行の速さは,周囲側面を塞いだ試料では元の試料と同程度であったが,接触面を塞いだ試料では極端に遅くなった.このことから,負荷による接触面内への潤滑油の流出,ならびに,その際の液体圧力の発生による接触圧力の減少と,これにともなう真実接触面積の減少が示唆された.
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